2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧力変化によるタンパク質の立体構造変化と酵素活性の圧力依存性の相関
Project/Area Number |
16760014
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 良尚 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (60325248)
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Keywords | タンパク質 / 圧力 / 結晶成長 / 核生成 / lysozyme / glucose isomerase / 表面自由エネルギー |
Research Abstract |
平成18年度は、(1)高圧力下その場X線結晶構造解析装置内での適切な大きさの結晶の育成、および100MPaまでの結晶構造解析と、(2)高圧力下結晶ステップ前進速度の温度依存性の測定を行うことを目的としていた。 目的(1)に関しては、高圧力下核生成の結晶構造解析を行うのに必要不可欠な、ガラスキャピラリー中での結晶化および溶液存在下での構造解析を行った。その結果、溶液存在中でも問題なく構造解析できることがわかった。また、高圧力(100MPa)下核生成および結晶化を行った結晶を常圧下で構造解析した結果、常圧下で結晶化したものと比較すると、(a)主鎖部分はほとんど変化がなかったが、(b)側鎖の部分には多少の変化があった。また、興味深いことに、(c)観測にかかる水分子の数は高圧力下の方が多いということと、(d)格子定数は高圧力下で結晶化した結晶のほうが大きいという結果が得られた。以上は、以前の研究(Suzuki, et al. J. Phys. Chem. B 109,3222-3226,2005)で推測した、高圧力下での水和数の増加を支持する結果となり興味深い。現在、高圧力下でのその場測定に向けて準備が進んでいる。 目的(2)に関しては、昨年度の実験で使用していた高圧容器の取り扱いにくさを解消するべく、光学窓が二つあるタイプを購入して実験を行った。ところが、実験操作自体はかなり改善されたものの、実際に溶液を完全に入れ替える作業が予想以上に難しいことがわかった。特にタンパク質溶液の総量が非常に少ないため、交換時に気泡が入ったり、圧力漏れがあったりということで、簡単に失敗してしまうことがわかった。様々な試行の結果、観察側のサファイヤ窓にガラス管を接着した、「半内部セル方式」とでもいう方式で溶液の交換が容易にかつ正確に行えるようになった。
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Research Products
(4 results)