2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮井 英次 京都大学, 工学研究科, COE研究員 (60372570)
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Keywords | フォトニック結晶 / 半導体レーザー / 面発光レーザー / 光波解析 |
Research Abstract |
フォトニック結晶のバンド端における零群速度効果を利用することにより、大面積単一モードレーザー発振が可能となる。この性質により、高出力動作のほか、従来の半導体レーザーにはない自由度の高いビームパターン制御を実現できる。フォトニック結晶レーザーでは発振に選ばれるモードはほぼ1つに絞られているが、サンプルによっては多モード発振するものがある。通常の発振モードと異なるモードは、バンド端ではなく非バンド端における零群速度効果に起因して発振していると考えられている。そこで、発振モード選択性を向上させ、安定動作を確保するため、この非バンド端モードの性質を理論的に詳細に解析した。 非バンド端モードでは、ある結晶軸方向に沿って光がジグザグに進行し、群速度が遅くなる。さらに、結晶軸方向を逆向きに伝搬する光とも結合できるので、3方向に進行する光がエネルギーの流れを打ち消しあい、最終的に群速度が零となる。時間領域差分(FDTD)法を用いたシミュレーションにより、非バンド端モードでは1つの結晶軸方向における光閉じ込め効果が非常に強いことが分かった。しかしながら、バンド端からずれると面垂直方向の光閉じ込めは弱くなるので、非バンド端モードではトータルのQ値は低くなる。実験的には非バンド端モードでの発振は起こっているので、零群速度以外の発振メカニズムが存在すると考えられる。そこで今回、従来無視していたTM偏波に着目した。TMモードは電場の振動方向が面に垂直であるため、面垂直方向には放射されにくい。したがって、TMモードと結合することにより、TE非バンド端モードの垂直方向の光閉じ込めが強くなり、発振に至ると予想される。これを確認するため、FDTD法により解析を行った結果、現実のデバイス構造ではTE-TM結合が起こり、非バンド端モードの垂直方向のQ値が高くなって発振している可能性が高いことが分かった。
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Research Products
(3 results)