2005 Fiscal Year Annual Research Report
多峰性多変数関数の、極めて正確で常に適用可能な大域的最適化を実用可能にする研究
Project/Area Number |
16760057
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮島 信也 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20367072)
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 固有値 / 実対称行列 |
Research Abstract |
最適化問題においては、与えられた問題を実対称行列の固有値問題に帰着させることがある。そこで今年度は最適値を精度保証付きで求めるための方法の1つとして、実対称行列の固有値を精度保証付き数値計算法を提案した。詳細は以下のとおりである。 本研究ではRumpによって示された誤差評価式に注目した。Rumpによる誤差評価式は全ての近似固有値に対し1つの誤差限界を与える。よってこの誤差評価式においては絶対値が比較的小さい近似固有値に対する誤差限界を過大評価している可能性がある。この過大評価を改善するために、本研究ではWilkinsonによって示された誤差評価式に注目した。この誤差評価式はある1つの近似固有値と、その近似固有値の最近傍にある真の固有値との距離の限界を与える。上述からも分かるように、この誤差評価式に基づく精度保証方式がi番目の真の固有値とi番目の近似固有値との距離の限界、すなわちi番目の近似固有値の誤差限界を常に与えるとは限らない。 本研究ではRump及びWilkinsonによる誤差評価式を利用し、全ての近似固有値、近似固有ベクトルが得られたときに、各近似固有値に対してそれぞれの誤差限界を与える精度保証方式を提案した。またRumpの方式及びWilkinsonの方式を構築し、提案方式がRumpの方式に比べ常に同等以下の誤差限界を与えることを証明した。提案方式ではRumpの方式の実行途中で得られた行列をWilkinsonの方式の実行時において再利用することにより、Wilkinsonの方式の計算コストを大幅に削減させている。この結果、提案方式の計算コストはRumpの方式の計算コストとほぼ同等となる。数値実験の結果、提案方式はこれまでの方式に比べ小さな誤差限界を高速に与えることを確認した。
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Research Products
(3 results)