2005 Fiscal Year Annual Research Report
その場観察による構造用セラミックスの使用温度域における自己き裂治癒機構の解明
Project/Area Number |
16760062
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 宏治 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90334630)
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Keywords | セラミックス / インテリジェント材料 / 自己き裂治癒 / その場観察 / 窒化ケイ素 / アルミナ |
Research Abstract |
まず,き裂治癒能力が優れた窒化ケイ素およびアルミナを焼結した.これらの材料には炭化ケイ素の微粒子またはウィスカーを複合させている.これにより,優れたき裂治癒能力と機械的特性を発現させることができる.続いて観察用の試験片を機械加工した.初期き裂として,ビッカーす圧子により表面長さが100μmの半円き裂を試験片表面に導入した.続いて,赤外線加熱炉と光学顕微鏡からなる顕微鏡用高温観察ステージを用いて,800℃,900℃,1000℃,1100℃,1200℃,1300℃の大気中において自己き裂治癒挙動の「その場観察」を行った.治癒時間は1時間とした. 窒化ケイ素では,800℃および900℃においてはき裂治癒後も初期き裂は明瞭に観察され,き裂はほとんど治癒されてないことが分かった.しかし,1000℃程度まで昇温するとき裂が観察されにくくなるとともに,試験片表面は生成物で覆われていた.この生成物は窒化ケイ素(Si_3N_4)および炭化ケイ素(SiC)の酸化により生じるSiO_2であると考えられる.1200℃および1300℃の場合にはき裂はほとんど完全に治癒されることが分かった.また,これらの場合には強度が完全に回復することが分かった. アルミナでは,1300℃で治癒した場合には,き裂面間は治癒物質で接合され強度も回復するが,治癒温度が1200℃以下の場合には,き裂面間は治癒物質で完全には接合されずに強度も回復しないことが分かった. 以上のように,本研究ではき裂治癒挙動のその場観察本法を提案した.本方法を用いることにより,種々の温度において,き裂治癒物質の形態やき裂長さの時々刻々の変化を調査し,き裂治癒に要する最短時間等を明らかにすることができる.
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Research Products
(4 results)