Research Abstract |
高度情報社会の進展に伴い,より良質な電力の安定供給がこれまで以上に望まれており,電力機器設備の機能維持,故障の未然防止に対する診断技術への社会的要求が高まっている。電力機器設備に用いられている各種絶縁体の劣化の予兆現象である部分放電の検出,位置の特定技術は,地絡,短絡等の重大事故を防ぐという観点から必要とされている。一方,電磁環境両立性(EMC : Electro Magnetic Compatibility)対策という点からも,篭力機器設備から放射される電磁波の常時監視技術の開発は今後さらに重要となる。 本研究の目的は,各種絶縁材料の劣化の予兆現象として発生する部分放電を,その放射電磁波を受信することにより監視するための電磁波センシング技術の開発と,絶縁劣化(部分放電初期段階),及び,絶縁破壊時の放射電磁波を解析し,その特徴を把握することである。 本年度は,小型かつ高い空間分解能で絶縁劣化箇所を特定する技術の開発,絶縁劣化(部分放電初期段階),及び,絶縁破壊時の放射電磁波の解析を進めてきた。 本研究成果の一部として,「ベイジアンネットによる部分放電放射電磁波の方位角推定法に関する基礎研究,電気学会論文誌B,125巻2号,pp.177-183,2005年2月」が掲載された。なお,本手法は高い空間分解能で放射電磁波到来角(源)を特定できるものである。 また,小型電磁波受信システムの開発に向けて,受信機の周波数帯域,分解能,及び,部分放電放射電磁波受信における課題を検討した。その成果は平成17年電気学会全国大会で,「部分放電放射電磁波測定におけるスペクトラムアナライザの分解能・ビデオ帯域幅の影響(講演番号2-030)」として発表した。今後も小型電磁波受信システムの最適な分解能・ビデオ帯域幅を検討する予定である。絶縁破壊時の放射電磁波解析も行っており,来年度以降にその成果を発表する予定である。
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