2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタルを利用したスピン機能デバイスの量子輸送特性に関する理論的研究
Project/Area Number |
16760242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 良雄 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10361198)
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Keywords | スピントロニクス / 電気伝導度 / 第一原理計算 / 希薄磁性半導体 / 不規則性 / ハーフメタル |
Research Abstract |
高いスピン偏率を有するホイスラー合金Co_2Cr<1-x>Fe_xAlの磁気トンネル接合(MTJ)電極材料としての有用性を検討するため、原子配列の乱れがスピン偏極率に与える影響を解析した。その結果、この物質はCr_<1-x>Fe_xとAl間の不規則性に対しては高いスピン偏極率を保持することがわかった。また、CoとCr_<1-x>Fe_x間の不規則性に対しては、電子構造が大きく変化しスピン偏極率、磁気モーメントともに大きく減少することがわかった。これらの結果は、この種のホイスラー合金をMTJ電極材料として利用する場合、高スピン偏極率を保持するためには必ずしも完全な原子配置の規則化が必要ではないことを示唆しており、ホイスラー合金をベースとしたスピントロニクスデバイス開発において重要な指針を与えている。 IV族半導体(シリコン・ゲルマニウム)ベース希薄磁性半導体の遷移金属スピン間にはたらく磁気相互作用の原子間距離依存性を第一原理計算により解析した。その結果、シリコン・ゲルマニウムに遷移金属(マンガン)をドープした場合、マンガンが[110]方向に配置すると母体原子との強いp-d混成により、強磁性状態が安定化することを見出した。また、シリコン・ゲルマニウムにドープされたマンガンはクラスタを形成する傾向が強いことを見出した。以上の結果をふまえ、IV族ベースの希薄磁性半導体を作製するめのプロセスとして、結晶成長過程でシリコン・ゲルマニウムの(111)微斜面を利用しマンガンを[110]方向に分散配置させる手法を提案した。 ナノ構造磁性体におけるスピン依存電気伝導現象を第一原理計算する手法を開発し、磁性不純物(Ni,Fe)を含むAuナノワイヤーの電子状態と電気伝導度に関する予備的な計算を行った。
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