2004 Fiscal Year Annual Research Report
全反射減衰配置を利用した有機光電変換素子の構造制御と高機能化
Project/Area Number |
16760248
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新保 一成 新潟大学, 工学部, 助教授 (80272855)
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Keywords | 表面プラズモン / 導波モード / 光電変換 / オットー配置 / クレッチマン配置 / エバネッセント波 |
Research Abstract |
本研究では、有機光電素子において表面プラズモン(SP)または導波モード励起を利用して有機層への光吸収を増大させることにより、従来よりも非常に高い効率を有する有機太陽電池の開発を行う。また、有機分子の凝集状態や配向性を制御してさらに効率を向上させると共に、有機膜の構造と光電変換機能との関連を詳しく調べることを目的とする。 まず、プリズム/MgF_2/Ag/銅フタロシアニン/Al/大気の構造において実験を行った。MgF_2はプリズムよりも低屈折率の媒質であり、MgF_2/プリズム界面で光を全反射させた時のエバネッセント波を用い、MgF_2/AgおよびAl/大気の界面でSPを励起できる。光の入射角を変え、SPが励起する前後の角度において短絡光電流の変化を測定した。これより、SPが励起されている時は、されていない時に比べて5倍以上の光電流が得られることがわかった。また、全反射減衰特性から得られた膜厚と誘電率による計算から、SPが励起されると銅フタロシアニンにおける光吸収が増大し、またこれに比例して光電流も大きくなることがわかった。このように、SP励起が光電素子の高効率化に大きく寄与することが明らかとなった。 次に、プリズム/Ag/ローダミン色素分散高分子薄膜/大気の構造において、導波モードを利用した有機色素の励起についても調べた。本研究においては、導波モードによってローダミン色素が励起され、それによって生じた蛍光が入射光とは異なる波長で導波モードを励起し、プリズムカップリングによって特定の角度に特定の波長の光が放射されることを見いだした。また、導波モード励起時には色素が強く励起され、プリズムからの放射光も強くなった。この現象は光電素子への応用に非常に有用と考えられ、今後光電素子を作製して実験を行う。また、分子凝集状態や分子配向性と光電変換、センシング等についても詳しく検討していく予定である。
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