2004 Fiscal Year Annual Research Report
電気泳動堆積法による高周波対応軟磁性フェライト膜の室温形成
Project/Area Number |
16760250
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
枦 修一郎 岐阜大学, 工学部, 助手 (90324285)
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Keywords | 電気泳動堆積法 / フェライト / 微粒子 / 微粒子膜 / 軟磁性 / 室温形成 |
Research Abstract |
低コスト・簡便な手法である電気泳動堆積法を用いた軟磁性フェライト膜の室温形成手法の確立を目的として、平成16年度に行った研究によって得られた知見を以下に示す。 1.透磁率および電気抵抗率を向上させるため、Fe元素の一部をNiとZnで置換したNiZnフェライト超微粒子を室温・水溶液中でFe^<2+>→Fe^<3+>酸化反応によって合成した。合成した超微粒子の粒径は10〜30nm程度と非常に微小なサイズを得ることができた。またこれらの超微粒子を用いた懸濁液を作製し、溶液pHの変化に対する超微粒子表面の帯電状況(ζ電位)を調べたところ、pH値4.0〜2.5(酸性側)の範囲において14〜18mV程度の電位を持つことが明らかとなり、電気泳動による堆積を行う際の溶液pH値の指針を得ることができた。 2.銅基板または導電性ガラス(ITO)基板を用いてフェライト超微粒子の堆積を試みた。懸濁液pHは上記の結果を参考に変化させ、また極板間に印加する電圧は懸濁液が水系であることから、水の電気分解により水素の生じない低電圧の範囲で変化させた。その結果pH値が2.8〜2.5の範囲、印加電庄が1.0〜1.2Vの範囲において、堆積時間15分で厚さが4〜8μm程度のフェライト微粒子膜の作製が可能となった。また堆積時間を一定とした場合、懸濁液中の微粒子の濃度を増すことで膜厚が増加することも明らかとなった。 3.作製したフェライト微粒子膜の磁気特性について、本年度に購入した高感度化キットにより高感度の磁気特性測定が可能となった振動試料型磁化測定装置で測定を行った。その結果、Fe元素のみから成るフェライト微粒子膜に比べ、一部をNiとZnで置換した分の磁化量の低減はあるものの透磁率は大きく改善されていることが明らかとなった。しかし磁化値を膜の単位体積当りで評価するとバルク材の場合の2/3程度となることから、膜内の微粒子密度が不十分であり更に増加させる必要がある。 以上のことより、予定通り平成16年度の研究計画を全て遂行し、上記のような研究成果を上げることができた。またこれらの成果は11に記載した学術雑誌"IEEE Tran.Magn."に論文として掲載されている。
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