2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16760258
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山里 将朗 琉球大学, 工学部, 助手 (10322299)
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Keywords | 非晶質水素化炭素薄膜 / RFマグネトロンスパッタリング / 極微量水素雰囲気 |
Research Abstract |
非晶質水素化炭素薄膜(a-C:H)は,高硬度,化学的安定性,表面平滑性に優れ,工具類やハードディスク表面の保護膜として応用されている.しかし,電子デバイスや生体材料への応用は現在のところあまり行われていない.これには主に二つの理由がある.第一に製膜時に導入される水素ガスの還元作用により,保護対象となる物自体が変質・損傷を受けてしまう事である.第二に,水素ガスを導入せずに作製した非晶質炭素薄膜(a-C)は内部応力が高く付着力が弱いため,膜が剥離しやすい事があげられる.そこで,半導体素子や生体材料などの保護対象となる材料自身に損傷や影響を与えず,かつ付着力の高いa-C:H薄膜の作製技術を確立することが求められている.従来,スパッタリング法を用いて非晶質水素化炭素薄膜を作製する場合,雰囲気ガスとしてアルゴン及び水素を導入している.しかし,上記のガスを入れた場合,酸化物や生体セラミックス材料のように,水素の還元作用により保護対象となる物自体が変質してしまう事がある.そこで本研究では,RFマグネトロンスパッタリング法を用いて,スパッタガスにHeとH_2を使用し,水素流量比R_Hが1%以下の極微量水素雰囲気下における非晶質水素化炭素薄膜作製技術を確立する.水素量を極微量にすることで,保護対象に影響を与えず,かつ膜の内部応力を緩和して付着強度を保つことができると考えている.また,スパッタガスとして,質量がArの約10分の1であるHeを用いることで,スパッタガスによる膜及び基板への損傷を防ぐことが期待できる.R_Hを0.05〜50%まで変化させて成膜した結果,R_H=1.0%で,膜のsp^3構造含有率が約55%と最も高くなることが分かった.その時の光学ギャップ(E_<04>)は2.4eVであり,製膜中の水素導入量を極微量にしても高品質な膜が得られることを明らかにした.
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Research Products
(1 results)