2005 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル有機トランジスタの電気伝導特性における圧縮・伸張歪みの効果
Project/Area Number |
16760268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 毅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80372407)
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Keywords | 有機トランジスタ / ナノテクノロジー / 有機半導体 / 大面積トランジスタ / 有機デバイス |
Research Abstract |
曲げ半径1mm以下まで折り曲げ可能な有機トランジスタの試作と評価 本研究プロジェクトでは、ペンタセンを用いて有機トランジスタとしては世界最高水準である移動度1[cm^2・V^<-1>・s^<-1>]以上を実現し、これを応用しフレキシブルなエレクトロニクスの実現に向けて取り組んできた。昨年度の研究では、ペンタセンを用いたフレキシブル有機トランジスタに、圧縮・伸張歪みを加えたときの電気伝導特性・ホール電圧・閾値電圧を広い温度領域で測定し、有機トランジスタの形状変化と伝導特性・移動度の関係を明らかにしてきた。その結果、作製された有機トランジスタの可撓性は、表面かきわめて平坦なポリイミドゲート絶縁膜と多結晶状態に組織化されているチャネル層の有機半導体、ペンタセン、が極めて重要な役割を果たすことをつきためた。本研究で用いるフレキシブル有機トランジスタの作製手順は、(1)フレキシブル絶縁材料であるポリイミドシートを基板として用い、その上にゲート電極を金蒸着することにより作製する。(2)液状ポリイミドをスピンコートすることによりゲート絶縁膜を作製する。(3)有機材料としてペンタセンを蒸着する。(4)最後にペンタセン上にソースおよびドレイン電極を金蒸着することにより作製する。なお、金(電極部分)やペンタセン(有機層)を蒸着する際にメタルマスクを用いることにより、それぞれの電極や有機層は必要な形状にパターニングを行っている。 本年度は、歪をかけた際にトランジスタの特性変化を抑制し、歪下でも極めて安定に動作する有機トランジスタの作製と電気的特性の評価に取り組んだ。大きな歪をチャネルに生み出す要因は、基板フィルムの厚みであるため、これを10μmまで薄膜化した。また、トランジスタ全体を覆うパリレン高分子封止膜を基板フィルムとまったく同じ厚み10μmにコントロールする技術を確立した。これにより、チャネル層を歪に対して完全に中立な位置に配置し、歪を緩和することに成功した。昨年までの有機トランジスタは、限界曲げ半径が4mmであったが、本年度の取り組みにより、限界曲げ半径は500μmまで極めて安定にトランジスタ動作することを示した。
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