2006 Fiscal Year Annual Research Report
フレキシブル有機トランジスタの電気伝導特性における圧縮・伸張歪みの効果
Project/Area Number |
16760268
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 毅 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80372407)
|
Keywords | 有機トランジスタ / ナノテクノロジー / 有機半導体 / 大面積トランジスタ / 有機デバイス / 有機金属界面制御 / フレキシブルエレクトロニクス |
Research Abstract |
折り曲げ可能な有機トランジスタの試作・評価と大面積エレクトロニクスへの応用 本研究プロジェクトでは、ペンタセンを用いて有機トランジスタとしては世界最高水準である移動度1[cm^2・V^<-1>・s^<-1>]以上を実現し、これを応用しフレキシブルなエレクトロニクスの実現に向けて取り組んできた。初年度の研究では、ペンタセンを用いたフレキシブル有機トランジスタに、圧縮・伸張歪みを加えたときの電気伝導特性・ホール電圧・閾値電圧を広い温度領域で測定し、有機トランジスタの形状変化と伝導特性・移動度の関係を明らかにしてきた。その結果、作製された有機トランジスタの可撓性は、表面かきわめて平坦なポリイミドゲート絶縁膜と多結晶状態に組織化されているチャネル層の有機半導体、ペンタセン、が極めて重要な役割を果たすことをつきためた。昨年度は、歪をかけた際にトランジスタの特性変化を抑制し、歪下でも極めて安定に動作する有機トランジスタの作製と電気的特性の評価に取り組んだ。大きな歪をチャネルに生み出す要因は、基板フィルムの厚みであるため、これを10μmまで薄膜化した。また、トランジスタ全体を覆うパリレン高分子封止膜を基板フィルムとまったく同じ厚み10μmにコントロールする技術を確立した。これにより、チャネル層を歪に対して完全に中立な位置に配置し、歪を緩和することに成功し、限界曲げ半径は500μmまで極めて安定にトランジスタ動作することを示した。 これまでの研究を通して、折り曲げることによる歪の効果を分子レベルで理解し、歪印加下で安定して動作する構造を検討してきた。最終年度は、これらの知見を活かし、フレキシブル材料の伝導機構解明を目的とし、高精度のHall測定技術を開発した。その結果、プラスティックフィルム上の有機半導体のHall測定に世界で始めて成功した。 さらには、フレキシブル有機トランジスタを舟いた新しい応用である「フレキシブル電力伝送シート」の開発に成功し、電子デバイス国際会議の最高峰である2006IEEE International Electron Devices Meetingで発表し、高い評価を得た。また、技術詳細は、材料科学雑誌の最高峰であるNature Materialsへの掲載が決まっている。
|