2004 Fiscal Year Annual Research Report
強震時における大型基礎の入力損失効果が構造物の損傷被害に及ぼす影響の解明と検証
Project/Area Number |
16760367
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
齊藤 正人 埼玉大学, 工学部, 助手 (40334156)
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Keywords | 入力損失効果 / 大型基礎 / ひずみ振幅依存性 / 振動数依存性 / 被害解析 |
Research Abstract |
1995年の兵庫県南部地震を契機に,種々の耐震技術が進歩した。しかし,それらを用いて兵庫県南部地震の被害解析によりシミュレートしてみると,実際の被害よりも地上構造物の損傷を過大評価する傾向にある構造物形式が存在する。それは大型基礎に支持される構造物である。数年に亘る研究により,大型基礎には「入力損失効果」が存在することを明らかにした。一般にこの入力損失効果は解析上無視されるが,この効果を考慮しないことが損傷を過大評価する原因ではないかと推察される。本研究では,「入力損失効果」を考慮しないことが,構造物の損傷被害を過大評価する原因であるか否か検証することを目的とする。当該目的を達成するために,平成16年度は実際に兵庫県南部地震において被害にあった大型基礎-地盤系について,その応答評価を実施した。評価の対象とした構造物は,以前被害解析を実施し,その結果,実被害よりも被害を過大に評価した経験を持つ数種の橋梁基礎から選定した。入力損失効果の評価指標は,基礎天端の加速度応答と遠方地盤の加速度応答の振幅比であり,詳細にはそれぞれの応答波形を振動数領域に変換し,そのフーリエ振幅の比を用いた。一般に入力損失効果は強い振動数依存性があるが,当該指標により,振動数領域において入力損失効果を評価することができた。系の応答には,基礎周辺地盤の塑性化や遠方地盤のひずみ振幅依存性が観察された。そうした非線形性の影響を,表層地盤に生じた加速度波形を積分し層厚で除すことで,表層地盤の平均せん断ひずみを算定し,これを指標として全時間領域における入力損失効果を評価した。その結果,平均せん断ひずみの増加に伴う表層地盤のせん断弾性係数の低下と減衰定数の増加によって,系の振動特性が著しく変化し,平均的には入力損失効果の極小値が低振動数側にシフトすることが確認された。
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