2004 Fiscal Year Annual Research Report
破壊現象に適した数値解析手法を用いたコンクリート構造物崩壊過程の解析
Project/Area Number |
16760369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小國 健二 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20323652)
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Keywords | 破壊現象 / 粒子的離散化 / コンクリートの崩壊過程 / FEM-β / 画像解析 |
Research Abstract |
本研究では、健全な状態から終局限界状態を経て崩壊に至る過程でのコンクリート構造物の挙動をばらつきも含めて予測することを目的に,破壊現象解析の新手法,FEM-βのコンクリート構造物の崩壊過程への適用を図った.FEM-βとは,亀裂の進展に応じて要素を作り直すリメッシュ・予め亀裂面を設定するジョイント要素など,計算負荷が大きい(リメッシュ),一般性がない(ジョイント要素)といった問題を持つ技巧を用いることなく,個々の亀裂の進展方向を簡便かつ高精度に予測する解析手法である.本年度はその数学的概念操作を終えたFEM-βの基本理論を整備し,弾塑性問題への拡張のための定式化を行った. 構造物の崩壊過程を取り扱う際には,材料特性の空間的ばらつきや部材形状の微小な乱れに伴って生じる破壊挙動のばらつきを考慮しなくてはならない.この確率的取り扱いのために,今年度はモンテカルロシミュレーションの適用を試みた.通常,弾性変形・塑性化・破断の一連の過程を追跡する場合,その計算コストは膨大なものとなり,多数の試行を要するモンテカルロシミュレーションは現実的ではないが,FEM-βによる破壊の簡便な扱いによりモンテカルロシミュレーションによる確率挙動の解析が可能となった. さらに,コンクリートの破壊挙動の確率的性質を実験的に得るため,画像計測による高精度ひずみ場計測に関する実験的研究にも着手した.現時点では実際のコンクリートの破壊過程の計測は実現していないが,計測装置および画像解析アルゴリズムのプロトタイプは完成した.本年度の研究成果の一部は国内誌では「土木学会論文集」に,国際誌では「Journal of the Mechanics of Solids and Structures」に掲載された.
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