2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16760386
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松島 亘志 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (60251625)
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Keywords | N値 / サイズ効果 / 局所化理論 / ひずみ勾配 / 有限変形FEM / 粒子破砕 / X線CT / Spring-8 |
Research Abstract |
我が国では、あらゆる地盤関連の基礎設計は標準貫入試験に基づくN値によって行われている。しかしながら、標準貫入試験は、動的試験であり、またサンプラーの押し込みという極めて局所化された変形に対する境界値問題であるため、支持力・土圧問題や斜面安定問題のようなすべり線形成に対する危険度、あるいは液状化危険度との関連については、明確な理論ではなく、実験に基づく経験則によってN値と各種限界強度を関連づけるものとなっている。本研究は、近年盛んに研究されている、ひずみの局所化理論に基づいて、地盤の変形スケールと材料スケールとの関係を整理し、現在のN値設計体系において用いられている各種経験則の理論的背景を明らかにし、より合理的な設計体系を再構築することを目指すものである。 本年度は、まず材料として球形のガラスビーズを用い、粒子形状や粒子破砕の影響を取り除いた状態で、(1)3軸圧縮試験、(2)1面せん断試験、(3)杭模型の押し込み実験等を行い、サイズ効果についての基礎実験を行った。その結果、3軸圧縮試験ではガラスビーズの粒径を変化させてもせん断強度が変わらないが、1面せん断試験ではサイズ効果により、粒径の増加とともにせん断強度が増加することを確認した。更に粒度分布の影響を検討するために、2種類の異なるサイズのガラスビーズを、さまざまな割合で配合した材料についてのサイズ効果の現れ方についても検討し、それらが大粒子同士の接触点数と密接な関わりがあることを確かめた。上記の結果は後述の数値解析結果と整合していたが、杭模型の押し込み実験に関しては、明確なサイズ効果が認められず、現在その原因を検討中である。 一方、粒子破砕性の検討に関しては、Spring-8におけるX線CTによる1次元圧縮試験の粒子挙動の可視化などを行い、基本性状の把握を行った。 数値解析に関しては、ひずみ勾配理論を導入した2次元有限変形FEMにより、実験に対応する(1)2軸圧縮試験、(2)1面せん断試験、(3)杭の押し込み試験の解析を行った。ただし、材料としてはMisesタイプのひずみ軟化型構成則を用いた。その結果、2軸圧縮試験では、せん断強度にはサイズ効果は現れないが、降伏後のひずみ軟化率にはサイズ効果が現れること、(2)(3)では、せん断強度に明確なサイズ効果が現れること、特に(3)においては変形性状の違いや進行性破壊が明瞭に現れることなどを確認した。現在、ダイレタンシーなど地盤材料をよりょく表現できる構成モデルを解析に導入中である。
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