Research Abstract |
高強度コンクリートは,硬化体の密度が高く乾燥収縮量が小さい反面,自己の水和に基づく内部乾燥によって自己収縮することが知られている。この自己収縮に起因して,微細なひび割れが鉄筋による拘束条件によって鉄筋周辺に生じる可能性があり,もし,この微細なひび割れが存在すれば,付着の劣化による構造挙動の変化,かぶり厚さの低減による耐久性の劣化が懸念される。 本年は,高強度コンクリートの自己収縮に起因する微細なひび割れが発生するかどうかを,溝切り鉄筋を埋設し,材齢1日より,着色アルコールを溝に流すことで検証を行う手法をまず,開発した。この手法によれば,水和過程中にコンクリートが微細なひび割れが生じた場合には,負圧によってアルコールがひび割れ部に浸透する手法によって微細ひび割れの検出が可能となる。しかも,アルコールがセメントと大きく反応しないため,セメントの水和条件を大きく変えることなく,継時的にひび割れを監視できることが大きな特徴である。 実験にあたり,供試体は鉄筋の付着を考慮し120cm,鉄筋はD32のものに5mm×4mmの溝をつけたものとした。鉄筋比は7.54%としている。 コンクリートは,水粉体比,30%,23%,15%としたもの,水粉体比15%のものは,さらに膨張材・収縮低減剤を用いたものを作成した。材齢10日時点の供試体においては,水粉体比15%のもののみ,微細なひび割れが検出され,他の水粉体比,膨張材・収縮低減剤を混和したものに関しては,ひび割れは検出されていない。 現在,引き続き,同様な供試体で長期材齢の実験を行っている。また,どうように鉄筋にゲージをはり,自己収縮による拘束応力がどのように発現するかに関して,異なる鉄筋比3種類でも同条件で検討を行っている。
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