2004 Fiscal Year Annual Research Report
滞在者の環境適応に基づく環境制御の緩和に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16760481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中野 淳太 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30350482)
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Keywords | 環境適応 / 熱的快適性 / 駅 / 実測調査 / 半屋外環境 |
Research Abstract |
近年、駅空問は効率的な旅客流動のみを追求するのではなく、利便性・快適性を向上させて集客の場として見直そうとする傾向にある。駅構内の温熱環境制御に対する需要が高まっている反面、屋外と連続しているという空間の性質上、室内と同等な環境基準で空調するのは困難である。しかし、駅の利用目的は列車乗降のための通過、あるいは短期的滞在であり、許容される温熱環境の範囲が一般室内基準よりも広いものと推測される。そこで本研究では、3駅を対象として温熱環境やその快適性に関する実測調査を夏季から冬季の3季節に渡って行い、駅空間における熱的快適性の定量的評価を行った。延べ63日間の調査を通じ、1333のアンケート回答と環境測定データを得た。駅空間の快適性因子を2元的品質分類法で評価したところ、ハード面の充実は駅によって評価が分かれたが、「温度」「空気」「居心地」は一様に評価が低く、改善が望まれていることが分かった。また、待ち合わせなど目的をもった滞在は多いものの、平均滞在時間は約5分であった。駅内部の空気温度は、屋外よりも高くなる傾向にあり、特に冬季にその傾向が顕著であった。日射熱の遮蔽や駅内部での機器発熱への対策が必要である。屋外に近い駅のような空間では、温冷感のみから熱的快適性評価を行うことは難しく、快適感や許容度との組み合わせによって評価を行った。通過用途では空気温度の低い冬季でも不満足者率が20%を超えることはなかった。コンコースやプラットホームの滞在用途では、作用温度32℃が許容される上限であるという結果が得られた。
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