2005 Fiscal Year Annual Research Report
既存建築物の災害弱者火災避難のための改修技術の検討
Project/Area Number |
16760499
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (70305556)
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Keywords | 火災 / 避難 / 災害弱者 / 車いす / 改修 / 建築 |
Research Abstract |
ハートビル法の改正(2003年)、各地方自治体の福祉の街づくり条例、交通バリアフリー法(2000年)などの施行により、エレベータ、エスカレータの設置など弱者のアクセシビリティ(利用可能性)を高める努力が続けられている。これに対し、火災時の避難・誘導に関する対応はなされていない。たとえば、車椅子、歩行器、杖など使用する高齢者を含む移動制約者は、エレベータ、エスカレータを利用して上層階へ移動する。ところが、火災が発生するとこれらの設備は、避難に利用できない。 避難に対応した既存建築物の改修整備を行う技術について整理し、技術指針を作成する。昨今のアクセス向上のためのバリアフリー対応をみても、既存建築物に対する改修も多く、災害弱者避難対応についても改修技術基準を早急に整備すべきである。 平成17年度は、災害弱者による防火戸通過を想定して、以下の実験を行った。また、結果を審査付き国際学術論文誌に投稿し、掲載された。 火災避難時に、安全区画に入るために防火戸等防火設備を通過しなければならない。現状の法規では、防火戸には開放重量の規定がないため、扉の開放に要する力が大きいものが多い。特に車椅子利用者、高齢者などは、開放が困難である。車椅子などでは、扉を開く場合に空間が必要となるため、機器と人間の動作寸法を三次元的に検討する必要がある。また、自動的に閉鎖する扉を避けられずに衝突・転倒するなどの危険性がある。そこで、災害弱者が単独で防火戸を通過する実験を通して、扉の開閉重量、開口幅、開口部下の段差、ドアクローザーの閉鎖速度、開放に必要となる扉周辺スペース等の検討を行った。また、車いすに乗った状態で発揮できる扉を押す力を計測することで、車いす利用者の発揮力の基礎資料とするとともに、通過可能性を検討する方法を提案した。
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Research Products
(1 results)