2005 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル法による高イオン伝導性無機硫化物-ポリマーハイブリッドの創製
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16760549
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (10364027)
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Keywords | メカノケミカル法 / ハイブリッド / 固体電解質 / 全固体電池 / イオン伝導体 / 硫化物 / ガラス / リチウム電池 |
Research Abstract |
本年度は、ポリマーの分子量や種類を変えて、新規な硫化物ガラス-ポリマーハイブリッド電解質の合成を行い、局所構造および導電率について調べた。 ポリマーとしてポリエーテルを用いたところ、ハイブリッド化によるガラスの導電率の向上が困難であった。ポリマー中のエーテル酸素がリチウムイオンのトラップサイトとして働くことが主な原因と考え、非エーテル系のアルカンジオールについて検討した。昨年度決定したハイブリッド化のためのメカノケミカル条件を用いて、リチウムイオン伝導性70Li_2S-30P_2S_5(mol%)ガラスと様々な分子量をもつアルカンジオールを反応させた。得られた試料は、FT-IR測定よりP-O-C結合に帰属できるバンドが観測され、またジオール類の末端OH基に帰属されるバンドが消失していたことから、ガラスとジオール類が反応してハイブリッド化していることを確認した。また、熱分析の結果より、ハイブリッド電解質は母ガラスよりも低いガラス転移温度(Tg)を示すことがわかった。 交流インピーダンス法を用いて導電率を求めたところ、2mol%の1,4-butanediolを添加することによって、ガラスの導電率を増大させることに成功した。得られたハイブリッドは、ガラスに比べて約1.5倍大きな9.7×10^<-5> S cm^<-1>の室温導電率を示した。この結果から、ガラスとアルカンジオールのハイブリッド化により、T_gを低下させることによって導電率が向上したものと考えられる。また用いるジオールの分子量について検討した。アルカンジオールHO-(CH_2)_n-OHにおいて、nが小さくなる、つまり鎖長が短いほど導電率は増大傾向を示し、n=2のハイブリッドの導電率は1.1×10^<-4> S cm^<-1>となった。 今後は、局所構造解析によるハイブリッド化の反応プロセスの解明とハイブリッド電解質のリチウムイオン輸率の決定、ならびに全固体電池への応用について検討する。
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Research Products
(10 results)