2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコニウム系メゾ多孔体の特徴を活かした新しい固体触媒反応系の開発
Project/Area Number |
16760614
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 孝 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (70361756)
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Keywords | アニオン交換法 / 複合酸化物多孔体 / 酸化ジルコニウム / 酸素酸アニオン / VI族元素 |
Research Abstract |
本年度は高規則性かつ高表面積ジルコニウム系複合酸化物多孔体調製法の確立を目指して、種々の遷移金属(V、Cr、Mn、Nb、Mo、W、Re)を用いて系統的な検討を行った。多孔体合成にはZr(SO_4)_2・4H_2Oとn-C_<16>H_<33>N(CH_3)_3Brから調製されるヘキサゴナル構造持つジルコニウム-硫酸イオン界面活性剤ミセルメゾ構造体(ZS)を前駆体として用い、構造体中の硫酸イオンと遷移金属の酸素酸イオンとのアニオン交換法により遷移金属イオンを導入した。 ZSへのアニオン導入量は元素および初期pHにより変化した。また、pHによっては金属イオン-界面活性剤間でラメラ相など新たな相を形成するものもあった。V族あるいはVI族のモノオキソアニオン種VO_3(OH)^<2->、CrO_4^-、MoO_4^-、WO_4^<2->が支配的に存在する初期pHで調製したV-Zr、Cr-Zr、Mo-ZrおよびW-Zr系は673Kで焼成後もZS特有のヘキサゴナル構造を保持していた。これらの複合酸化物はそれぞれ163、420、297、260m^2g^<-1>といずれも高い比表面積を持つミクロ多孔体であることが分かった。また、W-Zr系では界面活性剤の抽出による多孔体化を行い、既往の値を超える表面積354m^2g^<-1>の多孔体を得た。Mn-ZrおよびRe-Zr系ではイオン交換によりヘキサゴナル構造が崩壊し、Nb-Zr系ではシュウ酸イオンの存在によりイオン交換中にZSが部分的に溶解し、多孔体とはならなかった。またポリオキソアニオン種が支配的に存在する初期pHで調製した場合は、焼成後導入した金属イオンの酸化物結晶が析出するものもあり、いずれの元素でも多孔体は得られなかった。 以上の結果から、VI族あるいはガラス構成物質のモノオキソアニオン導入がZr系複合酸化物の多孔体化に必要であることが結論された。
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