2004 Fiscal Year Annual Research Report
外来種セイヨウオオマルハナバチの侵入の動態と在来マルハナバチに対する影響
Project/Area Number |
16770021
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
永光 輝義 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所(森林育成研究グループ), 主任研究官 (30353791)
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Keywords | 生物学的侵入 / マルハナバチ / 個体群動態 / 種間競争 |
Research Abstract |
北海道千歳川流域におけるセイヨウオオマルハナバチ(セイヨウ)野外集団の時間的空間的分布、セイヨウの分布と侵入源としてのトマト栽培温室の分布の関連、およびセイヨウの在来マルハナバチの体サイズへの影響を調べた。大型温室を中心とした南北12kmのトランセクト上の防風林に衝突板式トラップを設置し、5月下旬から9月中旬までマルハナバチ類を採集した。またその周囲のセイヨウ使用温室を特定した。それぞれの採集地点(長さ500m、幅100mの防風林)におけるマルハナバチ各種のトラップあたり採集個体数はポアソン分布で近似できることがわかった。(1)採集された女王個体数のピークは春だった。この時期に温室からの女王の逃げ出しが増える可能性は低いため、採集個体の多くは野外で越冬していたことが強く示唆される。(2)セイヨウの採集個体数は、採集地点から周囲1-4km以内の温室で1年間に使用されたセイヨウコロニー数と正の相関を示した。つまり、現時点ではセイヨウは温室から4km以上離れた場所への侵入は少ない。(3)大型温室から南に4km離れた地点は調査地域でのセイヨウの分布南限であるが、その個体数は1年間で増加しており、セイヨウの分布がさらに拡大する可能性が示唆される。(4)セイヨウが個体数において優占する地点では、そうでない地点よりも在来の2種の頭幅長が小さかった。このことから、在来種がセイヨウとの資源を巡る競争によって負の影響を受けたために体サイズが減少した可能性が示唆された。
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