2005 Fiscal Year Annual Research Report
過去四半世紀における日本太平洋岸の岩礁性貝類組成の変化
Project/Area Number |
16770024
|
Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
栗原 健夫 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所・石垣支所, 研究員 (30360770)
|
Keywords | 地球温暖化 / 外来種 / 貝類 / 日本太平洋岸全体 |
Research Abstract |
【目的】沖縄から北海道にいたる太平洋岸の岩礁性貝類について過去四半世紀の変動を調べ,以下の仮説を予備的に検証した:(1)近年の地球温暖化から推察されているように,種それぞれの分布域は北上しているか?(2)外来種のムラサキイガイ・シマメノウフネガイは増えているか? 【方法】全国太平洋岸の21個の岩礁海岸を定点とした.ここで環境庁(1978・1988)が計4回(1978年と84〜6年との春・夏),コドラート調査し,私は2005年の夏に同様の形式で再調査した.各定点の過去の気温をAmedasから求めた. 【結果と考察】合計,約20万個体,214種の貝類を記録した.(1)北上傾向:3年代(70s,80s,00s)すべてに現れた貝類を解析した.この四半世紀で分布域の北限や重心を北上させた種は,南下させた種より多かった.しかし,南限を北上させた種は,南下させた種とほぼ同数だった.各定点での気温は上昇傾向にあった.(2)ムラサキイガイは漸減し,00年代夏には皆無となった.シマメノウフネガイは80年代夏だけに出現した.以上の結果から,「地球温暖化にともなう種分布域全体の北上」,「外来種の増加」という世間一般の懸念が日本太平洋岸の貝類において必ずしも成り立っていないといえる.
|