2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡画像からの単粒子解析法による自動蛋白質三次元構造解析システムの開発
Project/Area Number |
16770088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小椋 俊彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (70371028)
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Keywords | 単粒子構造解析 / シミュレーティッドアニーリング / 膜蛋白質 / 3次元再構成 / 画像認識 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
最近我々は単粒子構造解析における新たな粒子認識方法として、三層階層型Neural Network(NN)を用いた自動粒子拾い上げ法を開発し、極めてノイズが高くコントラストの低いCryo電顕画像での粒子の拾い上げに成功した。この方法を用いることで、Cryo電顕で撮影された膜蛋白の粒子画像およそ10万枚を短期間に拾い上げ、飛躍的な解析速度の向上を可能にした。しかしながら、この方法では、学習データとする粒子画像200〜300枚を手で拾い上げる必要がある。我々はこの問題を解決するためにSimulated Annealingアルゴリズムを用いた粒子画像の自動認識法を開発した。この方法は、粒子が多数存在する一枚の電顕画像内にフレームを数百枚配置し、このフレームをランダムに動かしながら、全フレーム画像の加算平均を求める。そして、このコントラストが高くなるようにフレームの移動と回転に制約を加える。この制約は、温度パラメータによりコントロールされており、温度を徐々に減少させることで、フレームは粒子の位置に自然に配置される。この時のフレームの平均画像は、粒子に近い形状を示すことになる。この方法は、まさにタンパク質が結晶化する状態を模擬的にコンピュータ上で再現することに近く、タンパク質が結晶化する際により安定な配置を求めて規則的にタンパク分子が集積するように、フレームの平均画像はノイズのみで形状のない状態から徐々に粒子状の構造へと変化していく。そのため、この方法ではノイズに埋もれた形状を予め知る必要がなく、ユーザーは自己集積する環境をいくつかのパラメータで設定するだけで、あらゆる形状の粒子を高精度に拾い上げることが可能となる。
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Research Products
(1 results)