2004 Fiscal Year Annual Research Report
非対称細胞分裂においてSWI/SNFクロマチン構造変換複合体の果たす役割
Project/Area Number |
16770173
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内田 真啓 独立行政法人理化学研究所, 細胞運命研究チーム, 研究員 (60360509)
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Keywords | 線虫 C.elegans / 非対称細胞分裂 / SWI / SNF / クロマチンリモデリング |
Research Abstract |
申請者らはこれまでに、線虫におけるSWI/SNF構成因子の相同分子としてPSA-1,PSA-4,PSA-10,PSA-13を同定しているが、これらが他の生物と同様に複合体を形成して機能するかどうかは明らかになっていない。そこで、PSA-1及びPSA-4に対する抗体を作成し、各因子の遺伝子導入体を用いて免疫沈降を行った。その結果、少なくともこれら四つは複合体を形成しうることが明らかになり、これらが線虫においてもSWI/SNF複合体として機能することを示した。さらにこの結果は、SWI/SNFをターゲットとした免疫沈降実験系の確立を意味する。現在、WRM-1/β-catenin、LIT-1/NLK及びPOP-1/TCF等のWntシグナル下流因子とSWI/SNFとの相互作用の解析が進行中である。 また、線虫固体を用いたTwo-Hybrid Systemについては、コントロール用の各発現ベクターの構築が終了しており、今後、遺伝子導入体の作成により実験系の確立に取り組む。 さらに、非対称分裂に異常を示す別の新たな変異体を単利し、その解析により非対称分裂に関与する新規遺伝子psa-16を同定した。psa-16変異体では、LIT-1の極在の非対称性は変化しないが、WRM-1の極在の非対称性がなくなるあるいは反転していた。さらに、PSA-16をBaitとしたYeast Two-Hybridスクリーニングにより、PSA-16がWntシグナル伝達因子であるMIG-5/Dishevelledと相互作用しうることが明らかになった。これらの事からPSA-16は、Wntシグナル依存的にWRM-1とLIT-1の姉妹細胞間における非対称な相互作用を制御することにより、非対称分裂を制御する新規因子である事が期待される。現在、psa-16変異体およびPSA-16タンパク質について、詳細な解析を進めている。
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