2005 Fiscal Year Annual Research Report
トマトの果実発達における維管束機能の特性と糖代謝・糖蓄積制御機構の解明
Project/Area Number |
16780044
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松倉 千昭 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60361309)
|
Keywords | 維管束 / 遺伝子発現 / レーザーマイクロダイセクション(LMD) / トマト / 果実発達 / 糖蓄積 / 糖代謝 / マクロアレイ |
Research Abstract |
1.レーザーマイクロダイセクション(LMD)法によるトマト果実維管束特異的遺伝子発現解析 植物組織を対象としたLMDによる組織単離は研究例が極めて僅少であり、果実における報告はない。本研究では、昨年度1)試料調製2)LMD3)RNA抽出4)マクロアレイ解析の各項目について条件検討を行い、3)までの実験プロトコールの確立を行い、RT-PCRによって増幅可能な品質の維管束特異的mRNAが抽出されていることを確認した。今年度、4)についてアイソトープの核種(33p、32p)、供試する増幅鋳型mRNA量などを検討したが、解析可能な精度のアレイシグナルを得ることが出来なかった。これは試料調製時のmRNAの断片化、mRNA増幅時の鋳型cDNAの短鎖化による非特異的ハイブリダイゼーションによるものと考えられる。今年度は後者を抑えることが利点とされるArtus社のTRinucleotide mRNA Amplification Kitを用いアレイ解析条件を確立する予定である。 2.トマトの果実発達過程における糖転流・蓄積の動態解析 昨年度、トマト果実を発達過程において、維管束を介した炭素転流は緑熟期に至るまでに概ね完了しており、成熟後期の糖化は蓄積したデンプンの代謝によるものであることを明らかにした。以上の結果を受け、今年度は果実発達初期のデンプン蓄積と糖転流の制御について解析を行った。全果実を用いたアレイ解析において、UDP-glucose : protein transglucosidase(UPTG)やADP-glucose pyrophosphorylase(ADPase)などの多糖合成関連酵素遺伝子の果実発達初期における発現上昇を確認した。UPTGについては未単離のものを含む2遺伝子を単離し、Real-time RT-PCRによる詳細な発現解析を行ったが、糖蓄積との相関は見られなかつた。現在、AGPaseのcDNA単離を進めており、来年度、詳細な発現解析を行う予定である。また、糖転流の制御様式を調査するため、果実発達初期におけるSucrose transporter(LeSUTs)の葉における発現解析も併せて進める予定である。
|