2005 Fiscal Year Annual Research Report
三宅島2000年噴火後の森林生態系の回復メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16780110
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上條 隆志 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (10301079)
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Keywords | 火山 / 生態系 / 植生 / 三宅島 / バイオマス / 退行遷移 / 二酸化硫黄 / 火山灰 |
Research Abstract |
本研究は三宅島2000年噴火後の森林生態系の種構成、多様性、機能に関する回復メカニズムを明らかにすることを目的とした。本年度については、以下の調査・解析を行った。 1.2000年から2004年に設置した島内34箇所の固定調査区(100m^2から625m^2)において、植生調査と毎木調査をい、既存データと共に解析を行った。 2.地上部の刈り取り調査を15地点行った。また、オオバヤシャブシについては個体別に刈り取りを行った。得られた試料の乾燥重量を測定し、バイオマス推定を行った。 3.固定調査区6か所において土壌調査を行い火山灰ならびに埋没土壌を採取した。 4.固定調査区2か所においてリタートラップを設置し、その回収を行った。 5.固定調査区2か所においてシードトラップを設置し、その回収を行った。 以上の調査解析結果から、噴火後5年間の植生変化パターンを明らかにすることができた。(1)火山ガスの影響が少なく、火山灰の堆積が厚い地域においては、樹木は胴吹きし、草本層ではハチジョウススキなどが増加した。(2)火山ガスの影響が強く、火山灰の堆積が薄い地域においては、樹木はむしろ衰退し、回復は草本層でのみみられ、森林から草源への退行遷移を示した。また、シードトラップの結果から、ハチジョウススキは裸地においても、周辺から多くの種子が供給されていることが分かった。 噴火後に裸地化した地点同士で比較すると、火山ガスの影響の少ない地域の地上部バイオマスが噴火後5年で400g/m^2前後にまで回復したのに対して、火山ガスの影響の強い地域の地上部バイオマスは1.8g/m^2から95g/m^2程度であり、2004年から2005年の増加量も少なかった。リターフォールについては、年間のデータを得ることはできなかったが、継続調査することによって純一次生産量を推定する予定である。
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