2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16780143
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
森田 健太郎 独立行政法人水産総合研究センター, 北海道区水産研究所・亜寒帯漁業資源部・若手任期付研究員 (30373468)
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Keywords | サケ科魚類 / 小型・晩熟 / 成熟年齢 / 成熟体長 / 漁獲選択 / 環境変動 / 人工艀化放流 / 表現型可塑性 |
Research Abstract |
我が国のサケを含む北太平洋のサケ属魚類は、1970年代から回帰親魚の小型・晩熟化が進行している。その原因として、漁業や人工艀化放流による人為選択の可能性や環境変化に応答して生じたとする可能性が指摘されている。本研究では、サケ属魚類の資源動態モデルを構築することにより、成長低下による表現型可塑性で小型・晩熟化を説明できるのか、遺伝的変化が存在するのかについて検証することを目的とした。 昨年度のモデル解析およびシミュレーションにより、成長低下による表現型可塑性で実際の小型・晩熟化を定性的には説明できることが明らかとなったが、この内容について論文発表を行った。さらに、上記の結果は1960-2000年にわたる長期間の年変動に対しても有効であることが本年度の解析で分かった。また、鱗の計測に基づくバックカリキュレーションにより推定されたサケの成長履歴と成熟開始年齢の関係について分析を行ったところ、体長というよりも最近の成長状態のほうが成熟開始に強く関係していることが分かった。 9月上旬にモンタナ州立大学付属フラッドヘッド湖生物学研究所(米国カリスペル市)で開催されたブルマス(bull trout)のワークショップに参加した。著者自身が過去に行ったアメマスの生活史形質の多様性(成熟年齢や成熟体長の変異性)について発表するとともに、世界各地のさけ・ます類で顕在化している小型・晩熟化および平衡して生じている種々の環境変化について情報収集を行い、北太平洋全体で生じているサケ科魚類の小型・晩熟化について意見交換を行うことができた。
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