Research Abstract |
本研究では,従来のフードシステム論の発想に不足していた「地域」の視点・要素を組み込み,水産物流通の構造の考察,解明を進めることを目的としている。その際,地理学的な視点・手法を活用し,関連地域の流通上の位置づけや地域間の結びつきに注目する。また,研究成果を広く社会還元することを考慮し,特に学校教育への活用を念頭に置きながら研究を進め,成果の教材化や利用場面の発掘にも取り組む。具体的な研究対象は,輸入カペリン(国産シシャモとの比較等を含めて)を中心に取り上げる。なお、本年度は研究初年度であり,基礎的情報の収集整理や現地調査等の調整,予備的調査を中心に取り組む計画であった。本年度の具体的な活動と成果は以下のとおりである。 輸入カペリンに関して,カナダについては,本年度は現地の関係機関に訪問して基礎的情報を収集し,関係業者を照会して,来年度の生産・輸出作業の現地調査への協力を確保できた。アイスランドについては、本年度に関係業者の協力を得ることができ,打ち合わせを経て,生産・輸出作業の現地調査,現地業者への訪問調査を実施した。そして,来年度の継続調査と一次加工先(中国)の現地調査への協力,国内の加工に関わる現地調査への協力を確保した。なお,予定していたノルウェーは,本年度禁漁のため,作業を来年度に延期したが,既に関係業者の現地調査等への協力は確保できている。以上のように,引き続き来年度調査を実施するため,結果の論文化は来年度以降の作業となる。国産シシャモに関しては,本年度に北海道の関係機関,関係漁協等の協力を得て,生産や加工等の現場調査を実施でき,国産シシャモに関わる地域間関係や流通構造,具体的な生産・加工活動の把握ができた。これについては,本年度末に成果を学会報告(日本地理学会春季学術大会)する運びとなっており、来年度は論文の作成作業に移る。
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