2004 Fiscal Year Annual Research Report
水熱処理による廃棄物のバイオマス資源化技術に対するライフサイクルアセスメント分析
Project/Area Number |
16780164
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Research Institution | The Nara Prefectural Agricultural Experiment Station |
Principal Investigator |
平岡 美紀 奈良県農業技術センター, 企画普及部研究企画課, 主任研究員 (50373535)
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Keywords | バイオマス / ライフサイクルアセスメント / 水熱処理 / インベントリ分析 |
Research Abstract |
食品廃棄物などの未利用バイオマス資源を利用可能な資源やエネルギーとして変換する技術には、熱化学的変換技術である燃焼・ガス化・炭化・水熱ガス化・水熱液化・バイオディーゼル油合成・固形燃料化などの技術と、生物学的変換技術であるメタン発酵・エタノール発酵・嫌気性発酵による水素生産・光合成による水素生産などの技術がある。このうち、実用化段階にあるのが、メタン発酵・燃焼・バイオディーゼル・エタノール発酵の技術であり、この研究の対象である水熱液(油)化技術はいまだ実用化に至っていない。 水熱処理方式は、高温高圧の熱水中で反応を行うため水分含量の多いバイオマス原料を処理することが可能であり、生成物はスラリー状の流動物であるため、輸送に適し、化石燃料代替物やメタン発酵等の原料としての利用も可能となる。 今年度は、実験室用のパイロットプラントでの試験結果から、バイオマス資源の水熱処理による油化過程について、その処理過程で発生する環境影響排出物の把握と、投入・産出エネルギーの把握を行い、実証プラントにおけるLCAを行うための予備調査を行った。奈良県内で発生する未利用有機性廃棄物である「おから」を原料に水熱油化を行ったところ、生成物である油は、重油に比べて高位発熱量が約8MJ/kg不足し、弱酸性成分を多く含み、粘性が高く、残留炭素が多く含まれるため、重油としての利用には課題を残している。ただし、硫黄分は重油と比較して少ないため、SOxなどの環境負荷物質の排出量は少なくなる。 また、産出エネルギーを得るために必要な投入エネルギーが産出量を上回っており、実証プラントにおいては、投入エネルギーの効率化や熱回収利用などの工夫を要する。
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