Research Abstract |
籾殻炭をコンクリートに混入することで期待できる機能としては,自己養生機能,浄化透水機能,微生物賦活機能等があげられる。今年度は,自己養生機能を中心に検討を行うことにし,特に基礎的なデータを得るためにモルタル供試体で実験を行った。 モルタル供試体は,セメントの強さ試験方法(水:セメント:砂=1:0.5:3)に準じて作製し,籾殻炭はセメント量の外割りでそれぞれ1%,2%,3%混入した。作製したモルタル供試体は,湿気箱の中に約1日置き,脱型した後,(1):水温20±1℃の恒温水槽中での標準水中養生,(2)温度40℃,湿度40%一定にコントロールした恒温恒湿器内での気中養生,(3):1日間標準水中養生した後,(2)と同じ気中養生,(4):3日間標準水中養生した後,(2)と同じ気中養生,(5):5日間標準水中養生した後,(2)と同じ気中養生,(6)7日間標準水中養生した後,(2)と同じ気中養生,の6パターンで養生した。そして,材齢3日,7日,14日,28日,56日,91日に質量増減比,曲げ強度,圧縮強度を測定し,籾殻炭を混入することによる自己養生機能について検討を加えた。 その結果,質量増減比からは,籾殻炭を混入した供試体の質量は無混入の供試体よりも緩やかに減少しており,籾殻炭の保水効果を確認することができた。特に,気中養生を行う前に水中養生を行った養生(3)から(6)では,水中養生を行っていない養生(2)と比べて,籾殻炭を混入した供試体の質量が無混入の供試体よりも緩やかに減少した。曲げ強度と圧縮強度からは,籾殻炭を混入した供試体は,乾燥に近い気中養生に曝されたとしても,無混入の供試体よりも強度は発現することが分かった。ただし,養生(3)から(6)の結果を比較すると,籾殻炭の混入による自己養生機能は,3日間の養生で十分であり,それ以上の養生を行っても効果はあまり変わらないことが明らかとなった。
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