2004 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1プロテアーゼ阻害剤ジデムナケタールの不斉全合成研究
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16790020
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70287457)
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Keywords | 直接的アルドール反応 / エナンチオ選択的反応 / 光学活性スピロケタール / 抗HIV-1プロテアーゼ / ジヒドロキシル化反応 |
Research Abstract |
Faulknerらによってパラオ産ホヤより単離構造決定された,高いHIV-1プロテアーゼ阻害活性を有するジデムナケタールの不斉全合成について研究を行っている.当初の計画に沿ってまず,直接的不斉アルドール反応を基盤としたスピロケタール部位の構築について検討を行った.まず,モデル反応として5-オキソ-1,9-ノナンジアールに対し不斉亜鉛二核錯体触媒を用いた2-ヒドロキシアセトフェノンの不斉アルドール反応を行ったところ,光学活性ケトテトラオール体をジアステレオマー混合物として得た.アルドール反応のジアステレオ選択性は約2:1であった.この混合物に対し酸性条件下環化反応を行い,スピロケタール体を得ることに成功した.目的の立体化学を有するスピロケタール体の光学純度は96%eeと高い値を示したが,アルドール反応のジアステレオ選択性が低いことから,多くのジアステレオマーを副生した.以上のことから,スピロケタール骨格構築法として直接的アルドール反応の適用は現在のところ困難であると判明した.現在は異なる基質を用い,エナンチオ選択的ジヒドロキシル化反応によるスピロケタールの構築法の開発について検討中である,一方,側鎖部位の不斉合成についても検討を行った.まず,側鎖部位とスピロケタール部位の直接的アルドール反応による結合を考案し,側鎖部位をアルドール反応の求核試薬として用いることとした.そこでD-デオキシリボースを出発原料として用い,側鎖部位を求核試薬として合成した.このものを用い,モデル反応として市販のアキラルなアルデヒドに対し直接的アルドール反応を行ったが,反応は複雑となり目的の付加体を得るには到らなかった.そこで,側鎖部位を親電子試薬として用いることとし,化合物を再度デザインした.現在,エナンチオ選択的クロチル化と,ジヒドロキシル化を鍵反応とした側鎖合成について検討中である.
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