2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内レセプターの転写活性制御におけるユビキチン化修飾の機能の解析
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16790043
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川辺 洋一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (20361313)
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Keywords | Nuclear receptor / Estrogen receptor alpha / Ubiquitin / proteasome / Ubiquitin ligase / Mi-2 / NuRD complex / transcriptional co-repressor |
Research Abstract |
我々はこれまでに核内レセプターの一つで転写活性化機構が最も良く研究されているエストロゲンレセプター(ERα)について、ユビキチン化酵素の単離を行い、新規ユビキチンリガーゼのNRDF(Nuclear receptor degradation regurating factor)を同定した。今年度の解析でこのNRDFはERαの分解を促進するものの、発現パターンは全身発現を示し、さらに昨年度に作成したNRDF機能欠損(KO)マウスの解析からNRDF KOマウスは細胞周期遅延による胎盤形成と胎児成長抑制により出生後9.5日で胎生致死となることを明らかにした。この表現系はERαとの関連が不明であるため、ERαとは異なる因子、すなわち細胞周期関連因子をユビキチン化の標的タンパク質としていることが示唆された。そこで、申請者はERαとは異なるNRDFの標的タンパク質を得るためにNRDFタンパク質安定発現株を作製し、核抽出液からNRDF複合体の精製、MALDI-TOF Massで同定し、ユビキチン化の候補タンパク質として転写コリプレッサーのMi-2/NuRD複合体を得た。現在までに、これらのタンパク質複合体の中でHDAC2がユビキチン化修飾されることまで見出している。このMi-2/NuRD複合体はクロマチンリモデリング因子のMi-2やヒストンデアセチラーゼのHDAC1/2、メチル基結合タンパク質のMBD2、3を含む転写抑制因子複合体で、転写活性化因子、さらにはメチル化ヒストンやDNA上のCpGメチル化サイトに結合することが報告され、特異的遺伝子の発現抑制だけでなくGlobalなクロマチンの不活性化に寄与すると考えられている。しかしながら、機能の多様性から現在までにその機能の全体像や制御メカニズムついては不明な点が多い。 今後NRDFによるMi-2/NuRD複合体の分解機構の解析を行い、転写コリプレッサーのユビキチン化による制御メカニズムの解明を目指す。さらに、NRDF KOマウスの解析と連動させることで、Mi-2/NuRD複合体の分解の個体発生や分化におけるエピジェネティクス制御のメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(1 results)