2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の分化を抑制する新規タンパク質の解析とこれを標的とした抗肥満戦略
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16790055
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山崎 尚志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (20271083)
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Keywords | 褐色脂肪組織 / DHドメイン / BARドメイン / SH3ドメイン / エンドサイトーシス / ダイナミン |
Research Abstract |
哺乳動物には白色脂肪組織(WAT)と褐色脂肪組織(BAT)という2種類の脂肪組織が存在する.WATがエネルギー源を貯蔵する役割を担っているのに対し、BATは貯蔵されたエネルギー源を積極的に分解するユニークな組織である.研究代表者はBATとWATのmRNAの比較を行い、BATで優位に存在する新規cDNAクローン2-88を単離した.このcDNAがコードするタンパク質をマウス前駆脂肪細胞株に過剰発現させたところ、脂肪細胞への分化が抑制された.そこで、新規cDNAがコードするタンパク質の機能ならびに本タンパク質が脂肪細胞の分化を抑制する機構を明らかとすることを目的として解析を行った. その塩基配列から、cDNAクローン2-88は676アミノ酸からなる76.4kDaのタンパク質をコードすることが予想され、ドメイン検索により、本タンパク質にはDHドメイン(アミノ酸34-212)、BARドメイン(242-445)、2つのSH3ドメイン(509-568および606-665)が存在することが示された.さらにデーターベース検索を行った結果、2-88の推定構造は最近同定されたTuba(1577アミノ酸からなる約178kDaのタンパク質)のカルボキシル末端側の構造と非常に類似していることが示された.Tubaにおいて、2-88との類似性が認められるカルボキシル末端側のSH3ドメインは多数のアクチン調節タンパク質と結合することが報告されている.そこで2-88のSH3ドメインも同様にアクチン調節タンパク質と結合して機能しているのではないかと考えGSTプルダウン法を行った.その結果、予想に反し2-88のSH3ドメインはアクチン調節タンパク質とは結合せず、ダイナミンと結合していることが示された.このことから2-88はダイナミンを介したエンドサイトーシスに関与している可能性が強く示唆された.
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