2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン/デルマタン硫酸の硫酸化を担う硫酸基転移酵素群の生物学的意義の解明
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16790068
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三上 雅久 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (20330425)
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Keywords | 硫酸基転移酵素 / コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / グリコサミノグリカン / プロテオグリカン / 硫酸化 / 神経突起伸長 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュ胚におけるコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)の硫酸化修飾と機能との相関を解析するに当たり、これまでゼブラフィッシュ胚よりCS/DSのGalNAcの4位の硫酸化に関わる硫酸基転移酵素(C4ST-1、C4ST-2、D4ST-1)遺伝子の他、ウロン酸の2位の硫酸化に関わるDS/CS2ST (UST)遺伝子をクローニングした。組換え酵素を用いたin vitrでの活性測定により、それぞれがヒトの当該遺伝子産物と類似した基質特異性を示すことがわかった。これらの結果に基づき、単離した各遺伝子に対するアンチセンスモルフォリノオリゴを作製した。 ゼブラフィッシュの受精後48時間胚より、グリコサミノグリカン糖鎖画分を調製し、CS/DSの二糖組成分析を行った結果、他の脊椎動物と同様に、ゼブラフィッシュ胚由来のCS/DSにおいてもGalNAcの4位が硫酸化された構造が主要修飾構造であることが判明した。ジ硫酸化二糖単位としては、ウロン酸2位とGalNAcの6位が硫酸化された二糖Dユニットが1%程度の割合で含まれていることも分かった。 上記の結果を踏まえ、まず、CSのGalNAcの4位の硫酸化を主に担うC4ST-1のゼブラフィッシュ胚における発現をwhole-mount in situ hyblidizationにより解析した。C4ST-1 mRNAは脊索や体節をはじめ、脳、ヒレ原基などにおいて時間的空間的に制御された発現パターンを示した。 C4ST-1に特異的なアンチセンスモルフォリノオリゴをゼブラフィッシュに導入した胚(C4ST-1モルファント)は、体軸や尾部が曲がったり、ねじれたりする形態異常を示した。野生型胚をコンドロイチン4硫酸(CS-A)を強く認識する抗CS抗体2H6で免疫染色すると、脊索とその周囲が強く染色されたが、C4ST-1モルファントでは、その2H6による染色性は消失していた。従って、C4ST-1モルファントで観察された形態異常は、CS/DS鎖中のGalNAcの4位の硫酸化の低下、もしくはCS/DSの構造変化により引き起こされた可能性が強く示唆された。引き続き、その原因の分子メカニズムを解明すべく、特異的分子マーカーなどを用いたマーカー解析を行っている。
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