2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790142
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岡野 聡 山形大学, 遺伝子実験施設, 助手 (60300860)
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Keywords | 時計遺伝子 / ヘム / 概日リズム / Cryptochrome(CRY) / mRNA安定性 / GFPノックインマウス / 5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS) / 転写 |
Research Abstract |
16年度の研究によりCRY1のALAS-NmRNA発現制御への関与が明らかになったので、17年度はALAS-Nの発現制御機構に力点を移して、ヘムはいかに被時計制御遺伝子を制御するか、またCRYはその制御に如何に関わるかを解析する事を目標とした。まず、ALAS-N遺伝子プロモーターの制御下でGFPmRNAが発現するGFPノックイン遺伝子を持つGFPノックインヘテロマウスに、細胞内ヘム量を減少させる(DDC)又は増加させる(ヘミン)薬剤及びその他薬剤を投与し、肝臓でのGFP、ALAS-N両mRNAの挙動をリアルタイムPCRで解析し、ヘムによるALAS-NmRNA量の調節に2つの機構(ALAS-N遺伝子の転写制御およびmRNAの分解速度制御)が共に働く事をin vivoで明らかにした。さらに、同マウス肝臓ではALAS-NmRNAは大きな振幅で日周変動するのに対し、ヘムによる分解制御を受けないGFPmRNAの変動の程度は僅かである事、及びGFPmRNA量は各概日時刻でALAS-NmRNA量の1桁以上過剰にある事を明らかにした。これらの結果は、マウスの肝臓ALAS-NmRNAは常にヘムに依存したmRNA分解速度制御機構によって調節を受けており、観察されたALAS-NmRNAの大きな振幅での概日変動は、このヘムに依存したmRNAの分解制御の結果生じる事が強く示唆された。すなわち、ALAS-NmRNAの概日変動の振幅は、最終産物のヘムによる制御をうけるフィードバックループの機構の存在の可能性が推測される。さらにCRY1TgあるいはCRY1-APTgトランスジーンをGFPノックインヘテロマウスに導入した各コンパウンドマウスを得る事に成功し、GFPmRNAをレポーターにした解析からヘムのCRYを介したALAS-Nの転写制御機構がin vivoで明らかになる事が期待され、目下研究継続中である。
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