2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜ドメインRaftsを介した接着初期シグナルの解析
Project/Area Number |
16790168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島 孝樹 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30346134)
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Keywords | lipid rafts / Cell adhesion / Src family kinase / Csk binding protein / Tyrosine phosphorylation / extra cellular matrix / mass spectrometry / Annexin |
Research Abstract |
申請者は平成16年度科学研究費補助金を申請する段階でマウス線維芽細胞の分画とウエスタンブロッティングにより、細胞外基質に接着した直後の細胞のRafts画分においてSrcファミリーキナーゼ(SFK)の一過性の活性化を明らかにしており、これをを含めた反応を接着初期シグナルとして研究を行うことを申請していた。そして、今年度は接着初期シグナルの細胞内での可視化とこの反応に関与するタンパク質の同定を計画していた。 接着初期にSFKによりリン酸化されるCsk binding protein(Cbp)はそのほとんどがRafts画分に存在することからCbpに蛍光蛋白質であるGFPをつないだ融合蛋白質を細胞に発現させてRaftsのマーカーとして用いて接着時の細胞膜上での局在を観察した。Cbp-GFPは完全に広がりきった細胞では細胞膜全体に局在していたが、接着初期の細胞をコンフォーカル顕微鏡で細胞の底面から上面までを連続観察した結果、細胞の中央面ではCbp-GFPは細胞膜表面に均一に存在していたのに対し、細胞と細胞外基質との接着面ではCbp-GFPが濃縮したドット状の局在がみられ、その構造とリン酸化チロシンに対する抗体の染色像が一致した。この結果から、細胞と細胞外基質の接着面でRaftsが集積し、そこからチロシンリン酸化シグナルが伝わっていることが示唆された。 また、接着初期シグナルに関与する蛋白質の同定に関しては、浮遊細胞と接着初期の細胞からRafts画分を調製し、その試料を二次元電気泳動で分離した結果、接着初期にRaftsに移行してくる蛋白質のスポットを複数見いだした。それらのスポットから質量分析の手法を用いて蛋白質の同定を試みたところAnnexin IIおよびAnnexin VIを同定し、これらの蛋白質が実際に接着初期にRaftsに移行することをウエスタンブロッテイングで確認した。
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