2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腫瘍における変異型p53蛋白のリン酸化と血管新生諸因子発現との関連性
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16790208
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
松本 学 高知大学, 医学部, 講師 (40325410)
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Keywords | urothelial carcinoma / p53 / phosphorylation / angiogenetic factor / VEGF / VHL / HIF-1 / immunohistochemistry |
Research Abstract |
(目的)膀胱移行上皮癌62例において、過剰発現しているp53蛋白のリン酸化と血管新生諸因子発現(VEGF, HIF-1, VHL)および増殖能マーカーであるMIB1発現との関連性について免疫組織化学的に検討した。 (方法)p53のリン酸化については、セリン15,20,392それぞれがリン酸化されたp53を特異的に認識する抗体(p-Ser15-p53,p-Ser20-p53,p-Ser392-p53)の染色性により判定し、p-Ser392-p53は、++,>陽性細胞50%;+,5-49%;-,<4%、p-Ser15-p53およびp-Ser20-p53は、陽性例が少なく、ほとんどの例でheterogeneousな染色性を示したため、+,>1%;-,0%とした。他の抗体については、VHLは核が染色され、+,>5%;-,0-4%とし、VEGE, HIF-1は細胞質が染色され、+,強〜中等度陽性;-,弱陽性〜陰性とした。統計学的検討は、Chi-square testおよびMann-Whitney U-testを用いた。 (結果)p-Ser392-p53陽性例(++,+)が陰性例と比較して有意にMIB1の標識率が高値であり(p=0.0174)、セリン392リン酸化とVEGF(p=0.0473)、セリン15リン酸化とVHL(p=0.0103)に有意な関連性がみられた。さらにp53陽性例44例においても、セリン392リン酸化とVEGF(p=0.0389)、セリン15リン酸化とVHL(p=0.0085)に有意な関連性がみられた。 (考察)膀胱癌において過剰発現している変異型p53のセリン392リン酸化はMIB1およびVEGF高発現と関連し、血管新生、腫瘍進展に対しては促進的に働いており、一方、セリン15リン酸化はVHL高発現と関連し、血管新生に対しては抑制的に働いている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)