2005 Fiscal Year Annual Research Report
粥状動脈硬化病巣における新規エンドセリン発現上昇のメカニズム
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16790239
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40352372)
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Keywords | Atherosclerosis / Endothelin-1 / ET-1(1-31) / Chymase / Inflamation / Hamster / Aorta / Nitric Oxide |
Research Abstract |
既知のエンドセリン(ET)は21個のアミノ酸からなる強力な血管収縮作用をもつペプチドホルモンである。近年、肥満細胞で産生されるキマーゼが31アミノ酸の新規ET、ET(1-31)を産生することが報告された。私たちはヒトのキマーゼと同様の生理活性を有するハムスターに、高脂肪食と一酸化窒素合成酵素阻害剤を長期投与し、動脈硬化モデルを作成して研究を行った。正常な血管壁では、ET-1(1-31)の発現はあまりみとめられなかったが、軽度の内膜肥厚を伴う初期病変でわずかにみとめられた。高度に進行した病変(強い炎症に伴う高度の内膜・中膜・外膜肥厚)では、多く発現がみとめられた。動脈硬化の病変に伴う発現の上昇は、従来のET-1(1-21)と比し、ET-1(1-31)は顕著であった(Mawatari K.et al. Atherosclerosis.2004)。高度に進行した動脈硬化病変部位では、ET-1(1-31)の局在は血管壁全体へ浸潤した炎症系の血球細胞(組織球、単球など)で強い発現を認めたことから、炎症の進展に伴って上昇し、動脈硬化症の病態や進行に関与することが示唆された。なお、ET-1(1-31)生成酵素のキマーゼは炎症反応に関連のある肥満細胞から放出されており、現在、動脈硬化病変の進行とキマーゼ活性との関係を検討中である。 さらにこの動脈硬化モデルの大動脈を用いて、ET-1(1-31)の血管収縮への影響をした。ET-1(1-31)による血管収縮作用は、対象群と動脈硬化モデルとの間に差はなかった。また、ETの作用は2つのサブタイプのET受容体(ET-AR、ET-BR)への選択性で作用が異なるが、血管収縮反応において、動脈硬化病変による受容体の選択性に変化はなかった。よって、動脈硬化をおこした血管では、血管収縮のET-1(1-31)に対する感受性には変化がないことが確認された。
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