2006 Fiscal Year Annual Research Report
ライム病慢性化・重症化に関与する病原因子の単離とその機能解析
Project/Area Number |
16790266
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
川端 寛樹 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (60280765)
|
Keywords | ライム病 / ボレリア / マウス関節炎モデル / 慢性感染 |
Research Abstract |
ライム病はスピロヘータの一種ボレリア感染に起因する慢性の感染症で、抗菌薬による治療を行わなかった場合、慢性の関節炎、皮膚炎、神経炎に移行する。本研究では、ライム病ボレリアゲノムシークエンスが完了したボレリアB31株を用い、マウス感染モデルにおける病原性機構、特に関節炎発症メカニズムの解明を目的として以下の研究を行った。 結果: 1)B31株エピソームである28kb線状plasmid-4(lp28-4)を欠失した変異体では、接種部位から遠位に位置する関節組織において、関節炎の重症化が起らない事、即ち、この表現型では関節周囲組織へのボレリア侵入能、定着能もしくは組織での病原性が低下していることを明らかにした。 2)炎症の度合いは組織での定着菌数と比例すること、すなわちlp28-4欠失変異体では、関節組織での定着菌数が低下していることを見出した。 3)Lp28-4プラスミド上の因子同定を目的として、3種類の推定表層抗原遺伝子(BBI16,BBI36,BBI42)を相補し、感染実験を行った。これは、ライム病ボレリアは病原因子等の分泌機構を有さないこと、すなわち表層抗原に依存した病原機構が多いと考えられるためである。しかしながら親株であるlp28-3欠失変異体と比較し、本相補株では有意の関節炎増悪はみられなかった。 まとめ: 以上の結果から、lp28-4領域に関節炎を増悪させる因子が存在する可能性が示唆された。本因子には、ボレリアの関節周囲組織への浸潤を促進する機能があると考えられた。一方でlp28-4上の因子の特定にはいたらなかった。
|
Research Products
(11 results)