2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる酸化ストレスを介したゲノム不安定化機構の解明
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16790280
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
習田 昌裕 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10356256)
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Keywords | HCV / 遺伝子不安定化 / ROS / DNA障害 |
Research Abstract |
本年度の成果: 現在までにROSの蓄積を誘導すると報告されている、HCV Core及び全長遺伝子を誘導発現可能なHepG2細胞を用いて、活性酸素(ROS)を定量した。その結果、HCV全長遺伝子を誘導発現させたHepG2細胞で、発現誘導後、3〜4週までの間でH_2O_2の過剰産生を認めた。それ以降、H_2O_2の蓄積は非発現細胞のレベルにまで戻り、収束した。更に、このROSがDNAに障害を引き起こすかを解析する目的で、ROSによるDNA障害の修復中間体である脱塩基(AP)部位を定量した。その結果、ROSの蓄積が見られたHCV全長遺伝子発現細胞でDNA上のAP部位が上昇していた。以上の結果から、HCV全長遺伝子の発現により、活性酸素の産生が誘導され、DNAに障害を引き起こす事が示唆された。 一方、DNA修復系については、TransientにHCV Core蛋白質を発現させたHeLa細胞において、カンプトテシンにより誘導したDNA障害の修復が遅延化していた。更に、ゲノム不安定化との密接な関係が知られているWerner Syndromeの原因遺伝子、Wernerヘリカーゼ蛋白質の発現が、HCV Core蛋白質を長期恒常発現させたHepG2細胞、修復遅延が認められたHCV Core発現HeLa細胞において抑制されていた。以上の様に、HCVはROS等の産生を介して宿主DNA障害を引き起こし、更にWerner Helicase等の修復酵素をターゲットとして、宿主DNA修復系を阻害することが現在までに示されている。
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