2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊川 智之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40345046)
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Keywords | C型肝炎 / 検診 / 医療経済学的評価 / 生活の質 |
Research Abstract |
本年度は文献研究と質問票作成を行った。文献研究では、「肝炎」「検診」を中心に「生活の質」および「医療経済学」をキーワードに検索を行った。文献データベースとしてPudmedと医学中央雑誌Webを使用し、検索期間は2000年から2005年までとした。Pudmedによる検索では373件が該当した。そのうち46件が検診を中心とした文献であった。治療法に関する医療経済学的評価が行われているが、検診受診率、受診後の治療までの連携、治療後の経過を含めた評価が重要であることが浮き彫りになった。米国ではHCVの住民検診に関して、CDC、NIH、USPSTFの三組織からそれぞれのガイドラインがある。CDCおよびNIHは、ハイリスク者を対象とした検診は、費用対効果の点を含めて推進すべきであるとし、一般住民を対象とした検診は行うべきでないとしている。USPSTFは、一般住民だけでなく、ハイリスク者に対する検診についても否定している。また、英国や仏国におけるガイドラインでは前者の立場を示している。医学中央雑誌Webで検索できた文献657件のうち奨励報告を除いた原著で88件あった。内容別に分類すると、検診の現状報告やシステムの紹介(24件)、測定法・検査値(15件)、検診成績や罹患率(6件)、患者特性に関する記述疫学(2件)、医療過誤(1件)、検診後コンプライアンス(1件)、医療経済学(1件)、その他が38件であった。検診の現状報告が中心であり、C型肝炎、検診、生活の質、医療経済学的に関する研究は、英文も含め、国内では十分に行われていないことが明らかになった。 日本におけるC型肝炎の検診の特徴は、全高齢者を5年間で検診するように一般検診に組み込まれている点である。検診への参加率が約30%であることや、発見されただけでは自覚症状のない持続感染者は自発的に専門医療機関への受診行動を起こしにくいことから、検診への参加から始まる連携体制を整えることが不可欠であることが指摘されている。 以上の考察から、(A)C型肝炎ウイルス及びその治療に関する知識(B)C型肝炎ウイルス検診に関する知識、不安、ラベリング効果、性行動、カウンセリングの必要性(C)検診受診経験の有無または参加意思の有無、及び効用値理論に基づいた評価(D)検診に参加できない理由または参加するための条件や費用(E)性や年齢、家族構成、最終学歴、職種、年収などの個人特性などの項目を質問票に含める必要が明らかになった。
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