2005 Fiscal Year Annual Research Report
老化指標蛋白(SMP30)を用いた肝細老化とミトコンドリア機能不全機構の解明
Project/Area Number |
16790395
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
松山 秀二郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (50365657)
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Keywords | SMP30 / Akt / 肝細胞 / アポトーシス / 老化 |
Research Abstract |
老化指標蛋白(Senescence Marker Protein-30:SMP30)は肝に高発現し、加齢とともにその発現が減少するが、その機能には不明な点が多い。我々は、HepG2細胞にpcDNA3/SMP30を導入することでtransfectants(tf)を作製し、TNF-α plus Act-D(TNF-α/Act-D)および血清除去刺激に対するアポトーシス誘導をmock transfectants(mtf)との対比において比較検討した。TNF-α/Act-Dにより誘導されるアポトーシスはtfで有意に抑制され、この作用はcalmodulin(CaM)阻害剤であるtrifluoperazineにより濃度依存性に解除された。又、SMP30の抗アポトーシス作用は血清除去によるアポトーシスにおいても観察された。一方、Western blottingによる解析では、Akt活性はtfにおいて恒常的に増強しており、TNF-α/Act-Dの細胞死シグナルに呼応したものではないと考えられた。さらに、tfにおけるAkt活性の増強はtrifluoperazineにより濃度依存性に低下した。以上より、SMP30の抗アポトーシス作用には、細胞死回避シグナルであるAkt活性が関与しているものと推測された。Akt活性はPI3 kinaseにより制御されるが、近年、CaMによるPI3 kinase-Akt pathwayを介した抗アポトーシス作用が報告されており興味深い。一方、SMP30ノックアウトマウスでは、電子顕微鏡像にて肝細胞ミトコンドリアの膨化が観察されており、アポトーシス誘導におけるミトコンドリアの役割を考えると、SMP30のアポトーシス制御因子との関連が示唆されるものと考えられた。
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