2004 Fiscal Year Annual Research Report
びまん性肺疾患病態形成における胎児肺調節因子の役割
Project/Area Number |
16790444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 雄一郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (30361190)
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Keywords | TTF-1 / 免疫染色法 / 慢性期における肺の修復や再生 / SP-A |
Research Abstract |
thyroid transcription factor-1(TTF-1)は、胎児マウスの気道や肺の形成を調節する因子で、初期には気道上皮細胞で発現し、後期には主にII型肺胞上皮細胞で発現する。疾患肺では、新生児のbronchopulmonary dysplasia(BPD)で発現が増強し、またトランスジェニックマウスでは気腫性変化や好酸球を伴う線維性変化の報告がある。surfactant protein A(SP-A)は主にII型肺胞上皮細胞に発現し、特発性肺線維症(IPF)を含む間質性肺炎の血清で上昇し、活動性や予後の評価マーカーとして臨床で汎用されている。本研究はTTF-1の発現をSP-Aと比較することでその意義に関して検討した。対象は、間質性肺炎の急性期であるびまん性肺胞傷害2例(DAD)と慢性期である特発性肺線維症3例、膠原病関連間質性肺炎(CVD-IP)2例、器質化肺炎(OP)2例、閉塞性細気管支炎(BO)2例。方法はTTF-1及びSP-Aについて、ストレプトアビジン-ビオチン増幅法を用いて免疫染色法を施行した。結果は、DADにおいて、TTF-1はほとんど発現しなかったが、SP-Aは硝子膜や腫大したII型肺胞上皮細胞に発現した。IPF、CVD-IP、OP、BOにおいて、TTF-1は腫大したII型肺胞上皮細胞や増生した細気管支上皮細胞に発現したが、SP-Aは腫大したII型肺胞上皮細胞のみに発現した。これらの結果より、TTF-1は主に慢性期に発現することから、炎症における肺の修復や再生過程への関与が示唆され、慢性期の特異的な因子として期待できる。またIPFを含めた間質性肺炎において、TTF-1及びSP-Aは腫大したII型肺胞上皮細胞で発現しており、相互作用の可能性から新しいpathwayの解明が期待される。
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Research Products
(1 results)