2004 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の悪性化にかかわる複数因子を分子標的とした抗体治療
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16790445
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
埴淵 昌毅 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80335794)
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Keywords | モノクローナル抗体療法 / 肺癌多臓器転移モデル / 薬剤耐性因子 / 遠隔転移因子 / PTHrP |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らが既に確立している肺癌の多臓器転移モデルにおいて、肺癌が転移形成する臓器における転移を規定する因子の探索と、癌細胞の宿主側因子に対する応答性を解明し、難治癌とされている肺癌の薬剤耐性因子および遠隔転移因子を分子標的とするモノクローナル抗体療法を中心とした新規治療法を確立することにある。特に肺癌患者のQOL低下の原因となる骨および脳転移に対して、血管新生因子等の遠隔転移関連因子を分子標的とした新たな転移制御法の確立を目指す。申請者らは既にヒト肺癌細胞表面に発現している腫瘍関連抗原に対するマウス・ヒトキメラ型あるいはヒト型のモノクローナル抗体がin vitro, in vivoにおいて有効な抗腫瘍活性を誘導することを明らかにしている。今回、申請者らは肺癌の骨転移に促進的な役割を果たすParathyroid hormone-related protein (PTHrP)に対する中和抗体が、ヒト肺癌の多臓器転移モデルにおける骨転移を抑制することを報告した。また同様のモデルを用いて新規bisphosphonateであるYM529と抗癌剤(VP-16)の併用により、骨転移を含めた多臓器転移が抑制されることを報告した。さらにMMP阻害剤とP糖蛋白質に対するモノクローナル抗体の併用がin vivoで抗腫瘍効果を有することを確認しており、現在投稿準備中である。本研究の特色および独創性は、マウス・ヒトキメラ型あるいはヒト型のモノクローナル抗体を用いるなど臨床応用を常に念頭においたアプローチを進めている点にある。上記のような分子生物学的手法を用い、肺癌の悪性化に関与する諸因子を標的とした新規治療法の可能性を提供できるものと考えている。
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Research Products
(2 results)