2004 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期におけるニコチンの慢性曝露による個体の呼吸調節に与える影響
Project/Area Number |
16790454
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中谷 理恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30327522)
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Keywords | ニコチン / 乳児突然死症候群 / 低酸素換気応答 / 高炭酸ガス換気応答 |
Research Abstract |
乳児突然死症候群(Sudden infant death syndrome: SIDS)は乳児期における主要な死亡原因のひとつであり、その与える衝撃の大きさから社会問題にもなっている。SIDSの発症機序についてはいまだに不明な点が多いが、呼吸調節の異常が関与している可能性が考えられている。妊娠母体のタバコ喫煙習慣とSIDSの発症には密接な関連があるとされる。また、ニコチンはタバコの主な成分であることから、胎生期におけるニコチンの慢性曝露が個体の呼吸調節に与える影響を検討することは、SIDSの発症機序を解明するうえで重要であると考える。本年度は、ニコチンを妊娠の全期間中に投与した母親ラットから生まれた仔ラット(ニコチン群)の成長にともなう呼吸調節機能(具体的には低酸素(12%O_2)換気応答ならびに高炭酸ガス(10%CO_2)換気応答)の変化について検討した。プラセボを投与した母親ラットから生まれた仔ラット(コントロール群)と比較して、誕生早期(2日齢および4日齢)のニコチン群で低酸素換気応答および高炭酸ガス換気応答の低下が認められた。これらの換気応答の低下は日齢が進むにつれて認められなくなっていく傾向にあった。これらの生理学的な検討と平行して、胎生期のニコチン慢性曝露が脳幹のカテコラミン作動性神経群(呼吸調節に関与している可能性がある神経群)に与える影響についても免疫組織学的手法を用いて検討している。現在、結果が集積しつつある。
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