2005 Fiscal Year Annual Research Report
変異SOD1による運動ニューロン選択的変性の分子メカニズム
Project/Area Number |
16790500
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金 然正 独立行政法人理化学研究所, 平林研究ユニット, 研究員 (00345266)
|
Keywords | Superoxide dismutase 1 / 家族性筋萎縮性側索硬化症 / 凝集 / 遊離不飽和脂肪酸 / phospholipase A2 |
Research Abstract |
Superoxide dismutase 1(SOD1)の遺伝子変異が原因である家族性筋萎縮性側索硬化症は、運動ニューロン及びアストロサイトにおいて凝集体が観察されるなど、コンフォメーション病としての特徴を持つ。病態における凝集形成はコンフォメーション異常の変異SOD1がシャペロンやプロテアソームなどのタンパク質品質管理システムの処理能力を上回る結果であり、凝集体形成を促進する物質の関与が推測される。これらのことから、変異SOD1の凝集における不飽和脂肪酸の効果を試験管内で検討した。その結果、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸が構造不安定の変異SOD1の凝集を促進させることを見出した。さらに、不飽和脂肪酸による変異SOD1の凝集物は細胞毒性を持つことを明らかにした。これらの結果は、不飽和脂肪酸がコンフォメーション病である家族性筋萎縮性側索硬化症において、不飽和脂肪酸が関与する可能性があると考えられた。 これらの結果を踏まえ、変異SOD1の凝集に関わる不飽和脂肪酸の効果を細胞レベルにおいて確かめるため、neuro2aとHela細胞に変異SOD1の遺伝子を発現させ、phospholipase A2(PLA2)の阻害剤を用い、凝集に及ぼす影響を検討した。その結果、カルシウム非依存性PLA2(iPLA2)の阻害剤を処理した細胞は阻害剤を加えていない細胞に比べ凝集蛋白質の量が著しく減少した。これらの結果は細胞において遊離不飽和脂肪酸の代謝経路が変異タンパク質の凝集に密接な関連性を持つことを示唆していると考えられた。
|