2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790507
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
志原 伸幸 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (20344921)
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Keywords | 糖尿病性網膜症 / EST / 網膜 / 候補遺伝子 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症の発症・進展には遺伝素因の関与が示唆されている。本研究ではラット網膜ESTを収集することにより網膜で発現している遺伝子を網羅しプロファイリングを行った。その中から候補遺伝子を獲得し関連解析をおこなうことで糖尿病網膜症感受性遺伝子を同定することを目的とした。 ラット網膜cDNAライブラリーより14649クローンを収集し、その3'-シークエンスを得た。繰り返し配列およびミトコンドリア遺伝子を除いた12730クローンは、クラスタリング解析により6726種類の遺伝子で構成されていることがわかった。そのうち既知遺伝子が1978種類、未知遺伝子が4748種類であった。得られた既知遺伝子ESTの中では光受容に関わる網膜特異的な遺伝子が高発現していることが認められた。機能別に細分類したところ転写因子群が196種類ともっとも多くの遺伝子が発現していた。また当研究室で保有するラット膵島ESTと共通に発現している遺伝子を検索したところ、既知遺伝子1978種類中659種類が共通に発現していることが認められた。共通発現遺伝子を機能別に分類すると、もっとも多くの遺伝子が認められたのは転写因子であった(59種類)。今回この中で、hypoxia-inducible factor-1 alpha(HIF1A)に注目した。HIF1Aは糖尿病性網膜症での血管新生や膵島の発生・再生に関わるvascular endothelial growth factorの転写を虚血による低酸素下で促進する転写因子である。HIF1A遺伝子のSNPスクリーニングを行い35個のSNPが得られた。そのうちエクソン12にあるcSNPのP582Sが糖尿病発症との関連を示した。しかし、糖尿病網膜症との有意な関連は認められなかった。 本研究では大規模な網膜ESTを収集し、候補遺伝子検索の基盤情報を得ることができた。今回HIF1A遺伝子と糖尿病網膜症には有意な関連は得られなかったが、サンプル数を増やして検出力の高い検定を行う必要があると考える。
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Research Products
(1 results)