2004 Fiscal Year Annual Research Report
正常ヒト造血幹細胞の造血因子依存的細胞運動の分子機序解明
Project/Area Number |
16790539
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
加藤 隆幸 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50343413)
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Keywords | 造血幹細胞 / サイトカイン / 細胞内シグナル伝達 / 低分子量G蛋白質Rho / RhoエフェクタROCK / MAPKファミリー / 細胞運動 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
近年、ドナーに大きな負担を強いる骨髄移植に代わり、造血幹細胞を含むCD34陽性細胞を末梢血やさい帯血より分離して用いる造血幹細胞移植が主になりつつある。ドナーへのG-CSF投与で造血幹細胞が末梢血に動員されるが、この動員機序は不明である。申請者は、ヒト正常CD34陽性細胞のG-CSFおよびSCFによる細胞伸展とfilopodia様突起形成を見いだした。しかし、TNF及びGM-CSFでは細胞形態変化は観察されなかった。これは、運動しないとされるCD34陽性細胞の運動能獲得が特定のサイトカインで起こることを示している。特定サイトカイン依存的な細胞構造体はF-actinから成ることを共焦点レーザー顕微鏡で明らかにした。アクチン細胞骨格の再構築がCD34陽性細胞の形態変化に関与し、更には細胞運動にも関与すると考えられる。Ras類似低分子量G蛋白質Rhoはエフェクター分子であるROCK及びmDia1を介してアクチン細胞骨格を制御し、細胞運動・細胞接着・細胞形態変化に関与する。CD34陽性細胞の運動、特にF-actinから成る細胞構造体形成におけるRho及びRho関連分子の機能解析を進めている。細胞運動解析の実験系を立ち上げるため、好中球を用いて生細胞解析のための諸条件の検討を行った。サイトカイン添加により好中球が細胞運動を開始した。MAPK阻害剤、ROCK阻害剤、PI-3 kinase阻害剤、抗インテグリン抗体で細胞運動が障害された。このことはMAPK、ROCK、PI-3 kinase及びインテグリンによる細胞運動制御を示唆している。
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