2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の支持細胞「ニッチ細胞」としての骨芽細胞の機能解析
Project/Area Number |
16790542
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新井 文用 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90365403)
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Keywords | Tie2 / アンジオポエチン-1 / 造血幹細胞 / 骨芽細胞 / N-カドヘリン |
Research Abstract |
本研究では,造血幹細胞(HSC)の支持細胞である骨芽細胞とHSCの相互作用を明らかにし,ニッチにおいて骨芽細胞が造血幹細胞の未分化性維持機構をどのようにして制御しているのか、その解明を試みた。 我々はTie2受容体陽性の造血幹細胞が細胞周期の静止した幹細胞で、骨髄内では骨梁表面で骨芽細胞と接着して存在していることを明らかにしており、このことからTie2とそのリガンドであるアンジオポエチン-1(Ang-1)のシグナルが成体骨髄においてニッチ-幹細胞の関係を成立させるために必要とされることが示唆された。そこで、骨髄におけるAng-1の局在及びAng-1産生細胞の同定を試みたところ、Ang-1は主に骨芽細胞から産生されることが分かった。またTie2/Ang-1のシグナルは,in vitroでは幹細胞の骨芽細胞および細胞外マトリックスへの接着を誘導し,さらにin vivoにおいては,HCSの細胞周期の静止ならびに骨髄再構築能の維持に働くことが明らかになった。 一方,HSCと骨芽細胞の細胞接着にかかわる分子の候補としてカドヘリンに注目し、両者に共通するカドヘリンの発現を検討した。その結果,N-カドヘリンがHSCと骨芽細胞の両方で発現しており,さらに,SP-HSCsにおけるN-カドヘリンの発現がAng-1により増加することも確認された。ソコデHSCとストローマ細胞ニN-カドヘリンを強制発現させ共培養をおこなったところ、LTC-ICの維持、細胞分裂・増殖の抑制がみられた。このことから、HSCと骨芽細胞がN-カドヘリンを介して接着し、細胞周期を静止させていることが示唆された。 以上の結果から,HSCsは骨芽細胞からのTie2/Ang-1等の刺激により骨芽細胞との細胞接着を亢進させ,細胞周期を静止させることで,幹細胞の未分化性の維持していることが明らかになった。
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