2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移殖後の肝中心静脈閉塞症(VOD)早期診断法の確立
Project/Area Number |
16790549
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
薬師寺 和昭 久留米大学, 医学部, 助手 (00299504)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / Veno-occlusive disease. / Color Doppler US / 早期診断 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植症例56例(自家移槙4例。同種移植52例)を対象に移植前後で可能な限り7日毎に(day-7〜day+35)携帯用腹部Color Doppler USを用いて門脈2〜3次分枝の血流の逆流の有無について調べ、VODの早期診断の有用性を検討した。(結果)(1)56例中9例に門脈2〜3次分枝の逆流を検出した。(2)門脈2〜3次分枝の逆流を検出した9例中5例はMcDonaldの診断基準を満たし、4例は診断基準を満たさなかった。(3)McDonaldの診断基準を満たした5例中4例は診断基準に遅れることなく逆流を確認できた。しかし、1例は観察不良例で2〜3次分枝の逆流の検出前にVODの診断がついた。 (4)門脈2-3次分枝の逆流のみを認めた4例中2例は診断基準を満たす前に抗血栓療法を行い逆流は正常化しVODに進展しなかった。残り2例は自然治癒した。(5)逆流を検出できずMcDonaldの診断基準でVOD診断したのは56例中3例であった。これらの症例は、全身状態の悪く、皮下脂肪の厚い観察不良例であった。(6)HLA不一致の移植例に逆流の頻度が高かった。 (考案)(1)門脈2-3次分枝の逆流所見はVODの初期の所見と考えられた。(2)逆流頻度は、HLA不一致の移植例で高かった。(3)High risk症例(再移植例、非寛解例)は、門脈2〜3次分枝の逆流所見があればVODに発展しやすいため、早期に抗血栓療法を開始すべきと考えられた。(4)体位変換(左側臥位)や深呼吸法にて検出感度が上がった。(5)携帯用腹部Color Doppler USは無菌室に、安全にbedsideまで持ち運びできる有用な検査であった。(6)門脈2〜3次分枝の逆流検出は、VODの早期診断に必須であると考えられた。
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Research Products
(4 results)