2004 Fiscal Year Annual Research Report
移植後早期の造血、免疫機構再構築を目指した造血幹細胞増幅の基盤技術の開発
Project/Area Number |
16790573
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平松 英文 京都大学, 医学研究科, 助手 (40362503)
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Keywords | NOD / SCID / γ_c^<null>マウス / 臍帯血 / 造血幹細胞増幅 |
Research Abstract |
ヒト造血幹細胞のより鋭敏な測定系の開発を目指し、NOD/SCIDマウスのNK活性を完全に抑制する目的でcommon γ鎖ノックアウトマウスとの交配により新たなNOD/SCID/γ_c^<null>マウスを作成した。このマウスと従来のNOD/SCIDマウスに臍帯血由来CD34陽性細胞を10万個ずつ移植して経時的にヒト血球の割合(ヒトCD45陽性細胞)をマウス末梢血中で解析したところ、移植後4週において1.3% vs 8.6%、8週目では6.6% vs 37.1%とNOD/SCID/γ_c^<null>マウスにおいて圧倒的に高いキメラ率が得られた。移植後3ヶ月におけるNOD/SCID/γ_c^<null>マウスの骨髄、脾臓でのヒトCD45陽性細胞はそれぞれ63.4%、66.6%と極めて高率であった。生着しているヒト血球のlineage解析では従来のNOD/SCIDマウスと同様に様々な血球系譜への分化を認め、さらに注目すべきことにT細胞の出現を認めた。NOD/SCID/γ_c^<null>マウスモデルはすべてのlineageへの分化を解析できると同時にきわめて鋭敏なヒト造血幹細胞のアッセイ系を提供しうるモデルであることを確認した。次に、このマウスモデルを用いて、各種サイトカインの存在下に培養した造血幹細胞の生着性について検討した。方法は臍帯血由来CD34陽性細胞をStem cell factor, IL-6, soluble IL-6 receptor, Flt-3 ligand, Thrombopoietinと共にQBSF培地で5%炭酸ガス、37℃で1週間の培養とした。培養によっておおむね細胞数は50〜60倍に増幅したがその1/3はCD34陽性でさらに造血幹細胞が存在すると考えられるCD38陰性分画も3〜4%存在した。この方法ではCD19あるいはCD3陽性の成熟したリンパ球は見られなかった。増幅後の細胞をコロニーアッセイに供すると、幼弱な混合コロニーを含む多数の造血コロニーを形成した。増幅した細胞と増幅する前のCD34陽性を4万個ずつ移植して12週後の末梢血を解析したところ、増幅した細胞の移植においてもT細胞、B細胞を含む多分化能を有するヒト細胞の生着を確認した。このことは、我々の増幅法が造血幹細胞活性を維持していることを示唆する。現在、増幅効率等、早期生着へ向けた培養法の検討を行っている。
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Research Products
(1 results)